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・・・いや、世界もまた――しかし、現に世界はあるのだ。そして、争っているのだった。真理はどこかになければならぬ筈にもかかわらず、争いだけが真理の相貌を呈しているという解きがたい謎の中で、訓練をもった暴力が、ただその訓練のために輝きを放って白熱して・・・
横光利一
「微笑」
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・・・「こういう事を現に自分も感じている、多くの人も感じている、」「それがある理想から見て好ましくないことであろうとも、とにかく人間の自然なのだ、私はその自然を捕えた、」云々。 しかし自分の経験をほんとうに理解しようとする人が知っているように・・・
和辻哲郎
「「自然」を深めよ」