・・・その貧しさ乏しさは、若い世代の男の子女の子のつき合いについての判断についても良識を欠くことになってたとえば相当な年になった息子たちや娘たちは自分たちの交友を家の外でするという結果をも導き出していると思う。 どんな若いひとたちにしろ、ただ・・・ 宮本百合子 「異性の友情」
・・・ペルリが浦賀へ来た時代に大儒息軒先生として知られ、雲井龍雄、藤田東湖などと交友のあった大痘痕に片眼、小男であった安井仲平のところへ、十六歳の時、姉にかわって進んで嫁し、質素ながら耀きのある生涯を終った佐代子という美貌の夫人の記録である。「と・・・ 宮本百合子 「鴎外・漱石・藤村など」
・・・女学校へ入って間もなくあった校友会に出たきり、私は、文字通り御無沙汰を続けている。我々の年代にあっては、生活の全感情がいつも刻々に移り換る現在に集注されるのが自然らしい。日々の生活にあっては、今日と云い、今と云う、一画にぱっと照りつけた強い・・・ 宮本百合子 「思い出すかずかず」
・・・伊豆の温泉での文壇交友日記のようなものであるが、その中に、「プチット・ファアデットを読む。この小説は自分には不満だ」とあり、その不満の理由として、ジョルジュ・サンドが、この作中でカイヨウという農夫が若者ランドリイに牛の扱い方をどういう風にす・・・ 宮本百合子 「生産文学の問題」
・・・此間だも――と村校友達となぐり合を始めて相手に鼻血を出させたが、元はと云えばブランコの順番からで夜まで家へ帰されなかったと話して聞かせた。「御免なして下さりませ、ほんに物の分らん児だちゅうたら。「かまいやしないよ、子供の・・・ 宮本百合子 「農村」
・・・プロレタリア文学の存在に関する問題は、日本の人民の文学の発展にとって公有財産であるから、明りょうにしておく責任を感じた。 日本にプロレタリア文学運動はあった、それが在ったことは当然であり、今日、民主主義文学の全運動のなかに、推進の中核と・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学の存在」
・・・ 巨大な歴史的矛盾の運びとトルストイとゴーリキイとの交友は、いろいろの点で興味を与えるが、女について二人の態度が全く相違しているのは面白いことである。トルストイはゴーリキイとの会話の間でも、もっとも多く神と百姓と女について話すのであった・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・ 香以の交遊諸人に関しても、わたくしは二三の報を得た。尾道の古怪庵加藤氏は云う。「香以伝に香以の友晋永機を出し、その没年を明治三十七年としたのは誤であろう。今の機一君の父も永機、祖父も永機であった。香以の友は祖父の方であろう。そして明治・・・ 森鴎外 「細木香以」
・・・吾人は社会に罪悪の絶えぬ以上校友の思想に欠点あるを怪しまぬ。ただ願わくばこの悪潮流が光栄ある四綱領を汚さざらん事を望むのである。 和辻哲郎 「霊的本能主義」
出典:青空文庫