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・・・半井卜養という狂歌師の狂歌に、浦島が釣の竿とて呉竹の節はろくろく伸びず縮まず、というのがありまするが、呉竹の竿など余り感心出来ぬものですが、三十六節あったとかで大に節のことを褒めていまする、そんなようなものです。それで趣味が高じて来るという・・・
幸田露伴
「幻談」
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・・・打出されたところは昔呉竹の根岸の里今は煤だらけの東北本線の中空である。 高架線路から見おろした三河島は不思議な世界である。東京にこんなところがあったかと思うような別天地である。日本中にも世界中にもこれに似たところはないであろう。慰めのな・・・
寺田寅彦
「猫の穴掘り」