・・・『煉瓦女工』の作者は、いかにも修飾なく「ガラクタ部落」と自分から呼んでいる生活の周囲を描き出している。非常に達筆に描き出している。そういう環境の中でやりとりされる言葉が生活そのもののむき出しであると同様むき出しである、それが反映した迫力・・・ 宮本百合子 「若い婦人の著書二つ」
・・・自分ではひどく不満足に思っているが、率直な、一切の修飾を却けた秀麿の記述は、これまでの卒業論文には余り類がないと云うことであった。 丁度この卒業論文問題の起った頃からである。秀麿は別に病気はないのに、元気がなくなって、顔色が蒼く、目が異・・・ 森鴎外 「かのように」
・・・目上の人に物を言ったり何かすることになれば、修飾するから特色がなくなってしまう。この女の今しゃべっているのが、純粋な豊前語である。 そこで内のお時婆あさんや家主の爺さんの話と違って、おおよその意味は聞き取れるが、細かい nuances ・・・ 森鴎外 「鶏」
出典:青空文庫