・・・ドイツが第一次大戦終結の後一九一九年ヴェルサイユ条約成立と年を同じくして、新憲法による男女二十歳以上の一般、平等、直接、無記名投票権を認めていること、および、ソヴェト・ロシアが一九一七年十一月以来生産的公益的労働によって生計を営む十八歳以上・・・ 宮本百合子 「女性の歴史の七十四年」
・・・こんにちの世界で語られている崇高で理想にみちた「プランも希望も、条約も――すべてこういうものは何物をも保証し得ないのである。それを保証し得るものは人間である。いかなる圧迫にも撓まぬ人間の行動であり、わがジョボロ少佐のような人々のみである」と・・・ 宮本百合子 「「ヒロシマ」と「アダノの鐘」について」
・・・ なるほど、これは尤なことだとして読んだ私どもは、翻って、第一、天皇というところに、その特権の身分が世襲であり、人間としての資質如何を条件ともせずに、天皇たる世襲者が、憲法改正から法律・政令・条約の公布以下、政治上の実権の重要な点を押え・・・ 宮本百合子 「矛盾とその害毒」
・・・そして、ポツダム宣言をはじめ世界平和のために役立つ協定や条約をただの紙きれとしてしまおうとしている者たち、軍備の廃止のために協力するどころか、すでにおそるべき結果を生み出している軍事同盟政策に熱中して、西ドイツに、もとのヒットラーの突撃隊員・・・ 宮本百合子 「わたしたちには選ぶ権利がある」
一九三八年三月に、ナチス・ドイツはオーストリアを合併し、三九年三月には、チェコとスロヴァキアとを合併した。五月末に独伊軍事同盟が結ばれ、三ヵ月のちの八月には独ソ不可侵条約を締結した。ヒトラーの政府はラジオをもってこのことを・・・ 宮本百合子 「私の信条」
ソヴェト同盟との間にとりかわされていた不可侵条約をやぶって、ナチス軍がポーランドからウクライナへ、モスクワへ、レニングラードへと侵略しはじめた一年後、一九四二年八月、ソヴェト同盟の新聞『イズヴェスチア』に「虹」という小説が・・・ 宮本百合子 「ワンダ・ワシレーフスカヤ」
・・・三 ナポレオンはジェーエーブローの条約を締結してオーストリアから凱旋すると、彼の糟糠の妻ジョセフィヌを離婚した。そうして、彼はフランスの皇帝の権威を完全に確立せんがため新しき皇妃、十八歳のマリア・ルイザを彼の敵国オーストリア・・・ 横光利一 「ナポレオンと田虫」
出典:青空文庫