・・・短い間に八つ裂にされてしまったまでの日本の左翼運動とその思想が、今日かえりみて、多くの人々に未熟であり、機械的であり、模倣であり、主観的であったと批判される根本の原因は、一方に日本が、どんなに封建的な専制支配の下におかれていたかという事実を・・・ 宮本百合子 「現代の主題」
・・・政府案第十二条は、この五人の委員が「任命後最高裁判所長の面前に於て正規の宣誓書に署名してからでなければその職務を行ってはならない」としている。正規の宣誓書の内容は一般に知らされていない。五人の委員はなにを誓わせられるのだろう。これまで日本の・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・軍事的専制と営利出版との共同圧力で、真の文化は潰された。 その営利出版は、今なお残って、今度は、モラトリアムその他破局的動揺と結合して、新しい文学者の出発を阻んでいる。 いつの時代にでも、文学を愛し、それを生もうとする者は、金銭ずく・・・ 宮本百合子 「作家への新風」
・・・ 専制と恐怖の政治をすすめる温和な手段の一つは、人民の精神から批判力をぬき去るという方法である。笑いやスペクタクルによって精神の集中を溶け去らせる愚民化の方法である。ワグナーがオペラをプロシア皇帝の治世の具として自薦したとき、はっきりそ・・・ 宮本百合子 「「下じき」の問題」
・・・搾取者はその専制に対してプロレタリアートが階級的団結の下に立上る、うかうかしちゃいられないんだ。 ――そうだとも。男だって女だってプロレタリアートなら、ボヤボヤ炬燵にもぐって正月してるものはないさ。 ――一九三一年は一つ俺たちの暦で・・・ 宮本百合子 「正月とソヴェト勤労婦人」
・・・ 哲学者、教育者としてのルソーの考え方は、フランスのルイ十四世から十六世ごろまでの猛烈な専制主義に対して、人間の平等と自由独立、女も男もひとしい人間性の上に立つ自由を主張した。近代民主主義の先駆者であったルソーのほかに、ヴォルテールやデ・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
・・・そして、日本を輿論のない軍力専制の鎖につないで、遂に歴史的な破局に導いた。尾崎秀実氏とその国際的な同志たちとは、日本の軍事権力が最後ののたうちで最も悪逆になり狂暴となったその時期の犠牲であったのである。 非道な力は終焉に瀕している、それ・・・ 宮本百合子 「人民のために捧げられた生涯」
・・・ 過去ロシアは非常に専制主義だった。それだから中学校に入るのにも、階級の低いものの子はは入れなかった。だから中学へ入るのでも、養子に行って入るとかしなければいけなかった。普通は貴族か地主、軍人、技術家、大きな実業家の息子に限られていたが・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・即ち、世界の正直な人民は、戦争挑発をしりぞけ、自分の国のなかにおける専制的な権力とたたかってゆくために、量りしれないプラスを得たことを意味します。再び、一九五〇年という年への期待と歓喜を! 一九四九年九月二十一日から十日間、北京で開・・・ 宮本百合子 「宋慶齢への手紙」
・・・そして十月二十四日、五日と月末の二度に八王子地検の相川判事によって他被告との関係について「宣誓の上供述して」それを調書にとられた。第一回公判をひかえた十一月二日に竹内被告は、思想を異にする弁護人を希望しないという理由で自由法曹団の人々をこと・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
出典:青空文庫