・・・その懇話会賞も制定され、その名の叢書も刊行され、それらの小説集の表紙には時の農林大臣有馬頼寧の写真が帯封の装飾として使われるという前例のない有様を呈した。 近代及び現代の日本文学の中で、農民文学の占めて来た位置とその消長の跡とは、日本の・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・は昭和十四年に支那現代文学叢書第一輯として出されたものである。七篇の作品が収められている。落華生「春桃」、冰心女士「超人」「うつしえ」、葉紹鈞「稲草人」「古代英雄の石像」、郭沫若「黒猫」「自叙伝」等である。 これら七篇の作品を読み、一貫・・・ 宮本百合子 「春桃」
・・・一九一八年単行本『一つの芽生』が新進作家叢書の一部として新潮社から出た。「禰宜様宮田」人道主義的作家見習いにはなったが、当時の所謂文壇とはちっとも交渉がなかった。わずかに久米正雄、芥川龍之介などを知るだけで、自分・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・となり、また『世界文学叢書』の刊行を指導した。十月革命と同時に亡命したアンドレエエフやクープリンを高給でソヴェト同盟での活動に召集しようと努力したのもゴーリキイであった。 レーニンが、大衆の不幸というものに対して妥協のない憤激を持ち、そ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・の長となり「世界文学叢書」刊行責任者となり、飢饉救済委員会長として、国際的なアッピールを行った。ロシアの大衆を圧していた限りない不幸、その軛がはずされたこと及びゴーリキイ自身物心づくとからそれによって心臓をひんむかれるような苦痛を感じて来た・・・ 宮本百合子 「逝けるマクシム・ゴーリキイ」
・・・という叢書が東京河出書房から出されはじめた。法学博士穂積重遠、中川善之助両氏の責任監輯で、各巻第一部史論篇、第二部法律篇全部で五巻十冊の予定である。内容は婚姻。離婚。親子。家。相続。各巻をなしていずれも、今日に至るまでの社会の歴史の発達の面・・・ 宮本百合子 「若い婦人のための書棚」
出典:青空文庫