・・・ 子福者小笠原伯爵の何番目かの娘さんが最近スポーツマンであった体躯肥大な某氏と結婚された写真が出ていた。月給は七十円だけれども、豪壮な新邸に住まわれるそうである。一寸名のあるスポーツマンになるといいぜ、就職が楽だぜ。そういう功利的通念は・・・ 宮本百合子 「新しい一夫一婦」
・・・ 芸術座の出しものは「三肥大漢」だった。 エム・オー・エス・ペー・エス劇場では二日の晩に「憤怒」を上演した。 五ヵ年計画が実施されるにつれソヴェトではだんだん劇場の上演目録も変った。 古典的なオペラ・バレーを演じている国立オ・・・ 宮本百合子 「インターナショナルとともに」
・・・ ――アリョーシャの『三人の肥大漢』は何色を貰いました? 今芸術座が上演しているし、本も随分贅沢な出版だったが―― 若いパプツチキの作家で、彼の小説の「感情の結社」がワフタンゴフ劇場に上演され、小説も劇も評判された。 ――ああ、・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・ その後、昨年夏、再び心臓障害と高血圧に苦しみ、十二月、電気写真によって心臓の肥大と左室機能障害、尿中に多量の蛋白が発見され、絶対安静をいいわたされました。 十七年危篤に陥ったとき腎臓をいためていたまま戦時中手当ができず、その後・・・ 宮本百合子 「文学について」
出典:青空文庫