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・・・フロレンスの心がそこで満されていないということは、ふとしたおりおりにフロレンスの表情ににじむ何ともいえない倦怠のかげから十分察しられる。何不自由ない淑女であるフロレンスがもとめているものは、一体何なのだろう。 彼女は自分のうちに、正に燃・・・
宮本百合子
「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」
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・・・ 主人公クライドが、愛人である女工のロバアタの始末にこまって、ふとした新聞記事の殺人事件から暗示をうけ、その錯乱した心理の圧迫がロバアタを恐怖させその瞬間の二人の動物的なまた心理的な葛藤から、ついにロバアタが命をおとして、クライドは死刑・・・
宮本百合子
「文学の大陸的性格について」