・・・プロレタリア文学運動における同伴者的作家というものを、先に述べた規準によって正当に理解しないならば、この戦争と革命とへの時期において、日本のプロレタリア文学運動を、敵の前に武装解除させるところの、明らかな右翼的逸脱への危険を示すものとなるで・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・「日本の心ある知識階級は、日本の永世中立をのぞんでいる。武装せざる国家、永久平和の国家となることをのぞんでいる。」「しかし葦沢悠平は空想家ではなかった。戦いに敗れ、戦争がいやになったからと言って、それで永世中立ができるものなら、何の苦労もい・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・当時のドイツにみちていた男女のあらゆる種類の不満と悲しみを、武装解除させられたドイツの軍人たちの傷けられた名誉心と結合させ、ドイツ民族の名誉恢復、復讐の期待というものを、不幸なドイツの人々の心にしみこませて行ったのが、第一次大戦のときに生れ・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・ プロレタリア文化・文学運動とその活動家全員がすき間なくレーニン的党派性をもって貫かれ武装されることは、活動を狭くするどころか、今日のように「近い将来において革命的危機に立つかも知れぬ」日本の情勢の下にあって、運動をますます強め、ますま・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・急速な武装解除が行われた。九月〔二〕日にミズリー艦上で降伏文書調印が行われた。十月四日、連合軍総司令部の指令によって、治安維持法の撤廃、政治犯人の釈放、言論、出版、集会の自由が命令された。十月十〔四〕日、宮本が網走刑務所から解放され・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・社会党を盗人の巣のように思わせ、そこにスポットを当て、わやわやと目に見える光景にばかり気をとられているうちに、日本の生産はいつの間にかポツダム宣言で武装放棄したにかかわらず何人かのために軍需化され、五年後には主要食糧生産の増加率よりも鉄の生・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
・・・それ故進歩的思索を可能とする婦人は、先ず家庭の男に対する不平等の不満から正義派となり、その正義派的不満を唯物論によって武装せず個人的に観念化することにおいて、微妙に道徳感、宗教的世界観と結びつく。 故に、ブルジョア文化の歴史において婦人・・・ 宮本百合子 「婦人作家は何故道徳家か? そして何故男の美が描けぬか?」
朝鮮に戦争がおこってから、世界じゅうの平和運動は目立って活溌になり、真剣さを加えた。日本の五人の名流婦人たちが、「非武装国日本女性の講和問題についての希望要項」をダレス国務省顧問に託して、アメリカの世論に平和を訴えたことは・・・ 宮本百合子 「平和の願いは厳粛である」
・・・種子島へ来た鉄砲をどっさり買い込んで、自分の歩兵を武装させ機動的な戦争の方法を組織したのは信長であった。信長が、分裂していた支配権力を一応自分に集中することが出来たのは、彼の賢によってであった。彼がポルトガルから渡来した近代武器の威力を理解・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・誰が、どこでこね上げる計画なのかわからないが、山とつまれている未解決の社会問題を燃きつけにして怪火を出して、一般の人々が判断を迷わされているすきに、だから武装警察力を増大しなければならない、これだから、日本の平和のためにはより強大な武力の保・・・ 宮本百合子 「わたしたちには選ぶ権利がある」
出典:青空文庫