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・・・粕壁へわざわざ大掃除見に来たって大笑いしたはいいが、食べる物がないんでしょう、ぺこぺこになってここへ辿りついた訳なんです。――二人でありぎり食べて御飯が足りないって騒いでいたら――どうしたろう、あの婆さん――我々が入って来る時見えませんでし・・・
宮本百合子
「九月の或る日」
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・・・夕方になって伯龍が腹をぺこぺこにして戻って来て見ると、自分が食べない御飯はたくことも知らない天女の妻が退屈もせず縁側などにぼんやり腰かけている。伯龍がこらえかねて或るとき「このたわけ者め!」と足をあげて蹴ったらば、天女の妻は体が軽いので一二・・・
宮本百合子
「『静かなる愛』と『諸国の天女』」