時代 中古、A.D. 十一世紀頃――A.D. 1077―A.D. 1095 人物 グレゴリオ七世 ローマ法王 ヘンリー四世 ドイツ帝 老人 ヘンリー四世の守役を勤めた人九十・・・ 宮本百合子 「胚胎(二幕四場)」
・・・何ぞと云うと「法王様が仰云って?」と云います。アンナは、何だか旧教くさく、尼さんくさいからと云うので。 ロザリーは、どちらにもつかず、公平な態度を保っていましたが、アンナが夜中にまで、跪ずいてお祈を繰返すのには恐れました。 お祈はき・・・ 宮本百合子 「「母の膝の上に」(紹介並短評)」
・・・その外に、西洋史を習った時に、ローマ法王と、フランスの王との間に生じた政権上の争いから、ついにフランスの王が雪の中に三日三晩坐って、やっと法王から許されるといったような物語りを書いた戯曲などもでてきて、私を笑わせてしまった。 十二三・・・ 宮本百合子 「昔の思い出」
・・・ドイツは内治の上では、全く宗教を異にしている北と南とを擣きくるめて、人心の帰嚮を繰って行かなくてはならないし、外交の上でも、いかに勢力を失墜しているとは云え、まだ深い根柢を持っているロオマ法王を計算の外に置くことは出来ない。それだからドイツ・・・ 森鴎外 「かのように」
・・・ 麻のようなブロンドな頭を振り立って、どうかしたら羅馬法皇の宮廷へでも生捕られて行きそうな高音でハルロオと呼ぶのである。 呼んでしまってじいっとして待っている。 暫くすると、大きい鈍いコントルバスのような声でハルロオと答える。・・・ 森鴎外 「木精」
出典:青空文庫