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・・・ 二人は静かに歩きながら千世子の事についてぼそぼそと話し合って居た。 千世子の家の前に来た時二人は一寸たち止まった。 そしてどっかの迷い猫が眠って居る花園のわきをしのび足で通って落ついたしっとりした書斎に入った時千世子は居ないで・・・
宮本百合子
「蛋白石」
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・・・ 二人は心から仲の良い様によっかかり合いながらとりとめもない事をぼそぼそと話した。「これから毎日貴方は描く絵を持って来私もしたい事をして一日中一緒に居ようじゃあありませんか、 きっといいでしょうよ。 ね? ほんとうにそう・・・
宮本百合子
「千世子(三)」