・・・こういう選挙演説がアッピールするのは、みんなの要求がそこにあるということの明瞭なしるしです。風呂について、わたしたちの感情は所有慾から利用の慾望に発展して来ているのです。この講堂を、ここに来ていられる方の誰が所有したいと思っているでしょう。・・・ 宮本百合子 「社会と人間の成長」
・・・ヒロシマ、ナガサキの経験を持つ日本の人々は何一つ罪ない人民をみな殺しにした原子兵器が世界のどこでもまたと使用されることがないようにストックホルムのアッピールへは数百万の人々が署名した。五億を越した署名の数のうち資本主義の国としては世界第三位・・・ 宮本百合子 「世界は求めている、平和を!」
・・・原子兵器を禁止し、それを最初に使用した権力を、人類に対する戦犯とすべきであるというストックホルムの平和大会アッピールは最近、益々そのアッピールの切実さが証明されつつある。日本でさえ六百万に近い署名をあつめた。そして、資本主義国としては、第三・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・そしてまた、従業員の生活問題のために起った東交が、やはり一枚のビラをもまかず、市民に向って特別なアッピールをもしないでいるというのは何故であろうか。そう思って、「争議団司令部」という大きなはり紙をした二階の手摺のところへ、新聞社写真班のため・・・ 宮本百合子 「電車の見えない電車通り」
・・・だが、その技術に立ってつかわないことを世界がアッピールでしたのは〔以下数行欠〕三、平和のためのたたかいは全く必要になって来た。だが石川達三、風にそよぐ葦〔以下数行欠〕〔欄外に〕一方に追放解除の精神・・・ 宮本百合子 「東大での話の原稿」
・・・近くもたれようとしているアジアの国際婦人民主連盟の大会でわたしたち日本の女性は、自分たちと世界の災厄をふせぐために、ベトナムの若い代表婦人が、ブダペストから世界の良心にアッピールしたように、アッピールする機会をもたなければならないと思う。・・・ 宮本百合子 「人間イヴの誕生」
・・・そこに文学者として文学者でない一般社会人にアッピールしうる大義名分がある。その大義名分によって、文学者たちも市民として、事実にもとづかない根拠によって圧迫して来る法律とたたかう必然が人々に共感される。文学者と世界平和運動というスケールでは、・・・ 宮本百合子 「人間性・政治・文学(1)」
・・・ストックホルムで開かれた世界平和擁護大会が、原子兵器禁止の決議を行い、ヒロシマとナガサキの恐ろしい経験をもっている日本の人民が、このアッピールの先頭にたつだろうと期待しているのは当然です。戦争は宿命ではありません。人間がおこすものです――し・・・ 宮本百合子 「願いは一つにまとめて」
・・・ このような本が出版されることそのことが一つの社会的なアッピールではないだろうか。そして、これらの本を書評にとりあげることの本質には、これらの人々の切実な生のよび声を、わたしたちの社会連帯の感覚のうちによりひろく伝える義務がふくまれてい・・・ 宮本百合子 「病菌とたたかう人々」
・・・性質のものであるかを摘発し、今日の現実に闘争する革命的大衆にアッピールすべき農民の姿を小説のどこにも見出し得なかったことを「青年」について批判している。特に高崎郡領一揆と大久保利通にその例を見る維新の封建地主勢力の庇護のもとにあった志士団と・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
出典:青空文庫