・・・ お風呂に入れないとその点こまります。アルコールを貰って水にわって体を拭くことは出来ないものでしょうか。 私は今月の初めからずっときのうまで非常に忙しく沢山勉強もしたし、自身で堪能するだけ書くものにしろ深めたものを書いたので、読んでいた・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・文学の才能だけは、アルコールの中毒くさかったり、病理的な非情のするどさでもてはやされたりする畸型的な面白がられかたは、文学そのものの恥だと思う。若い作家三島由紀夫の才能の豊かさ、するどさが一九四九年の概括の中にふれられていた。この能才な青年・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・一九二九年から禁酒運動の盛になったこと、文部省はアルコール中毒患者専門の療養所を開いた。キノで酒の体に及ぼす害、子孫に害を及ぼす恐ろしさ、酒が敵で心にもない反革命的行為に誘惑される実例も見せる。禁酒宣伝の示威行列も見たよ、度々。 ――誰・・・ 宮本百合子 「正月とソヴェト勤労婦人」
・・・婦人労働者たちは、デモに着て出る服の手入れでもして、四月三十日になると、モスクワ全市の食糧品販売店では、火酒、ブドー酒、ビール、すべてアルコールの入った飲物を一斉に――売り出すのか? そうじゃない、反対だ。絶対にアルコール飲料は売らなくなる・・・ 宮本百合子 「勝利したプロレタリアのメーデー」
・・・宮島氏と父とは同郷であり、親しかったので、私は自分の下宿へ、この国際連盟委員を招待し、アルコールランプで、鶏のすきやきをこしらえ、馬車に並んでのって、モスク市中見物のお伴をした。とりは大変かたかった。 正月、大使館のひとに逢ったらジェネ・・・ 宮本百合子 「時計」
・・・ 同志たちよ、機械の力を理解して!」電気トロに油断すると、やっぱり命を失うぞ。不具になるぞと絵で示してある。安全燈をうけとる間に、毎日のことながら新しい注意をよび起すようにしてあるのだ。「注意! アルコールはわれわれの敵だ!」酔って坑内・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・ 断種協会は、この社会の不幸である悪質の病気、アルコール中毒等の遺伝から子孫を防衛するために、そういう変質者、病人の断種を人道上の常識としようとする科学的立場によって、組織された会である。 産児制限を、不道徳であると婦人科の女医師で・・・ 宮本百合子 「花のたより」
・・・ 十九世紀中葉のその時代のイギリスで、病人の看護をするのが聖業であるというような女は、他のまともな正業には従えない女、主としてもう往来を歩くには年をとりすぎたアルコール中毒の淫売婦あがりの婆さんたちであった。こういう看護婦というもの・・・ 宮本百合子 「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」
・・・ その部屋にはアルコール・ランプがあった。いろいろの色の液体の入った罎、銅や鉄の屑、鉛の棒などがあった。それらのゴタゴタの間で「結構さん」は、朝から晩まで鉛を溶かしたり、小さい天秤で何かをはかったり、指の先を火傷をしてうんうんとうなった・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・そこにはアルコール・ランプがあった。いろいろの色の液体の入った罎、銅や鉄の屑、鉛の棒などがあった。これらのゴタゴタの間で「結構さん」は、朝から晩まで鉛を溶かしたり、小さい天秤で何かをはかったり、指の先へ火傷をしてうんうんとうなったり、すり切・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
出典:青空文庫