・・・そんな言葉こそウルトラというものだ。小児病というものだ。一のプロレタリアアトへの貢献、それで沢山。その一が尊いのだ。その一だけの為に僕たちは頑張って生きていなければならないのだ。そうしてそれが立派にプラスの生活だ。死ぬなんて馬鹿だ。死ぬなん・・・ 太宰治 「葉」
・・・これが大きな管弦楽ならばまたいっそう多数の音が重畳して来るわけであるが、連句の一句に同時に響いて来る表象情緒の重なり方の複雑さは、管弦楽などよりもいっそうウルトラの複雑さで到底数字や記号で表わさるべき程度のものではないのである。それでもわれ・・・ 寺田寅彦 「連句雑俎」
・・・助手は又一つピシッとやる。ウルトラ大学生諸君、こんな散歩が何で面白いだろう。からだの為も何もあったもんじゃない。 豚は仕方なく又畜舎に戻りごろっと藁に横になる。キャベジの青いいい所を助手はわずか持って来た。豚は喰べたくなかったが助手が向・・・ 宮沢賢治 「フランドン農学校の豚」
・・・十七世紀の新陸地発見時代のイスパニアの貨幣にはジブラルタルの図案が鋳出されている下に Plus ultraと刻まれていたと、この著者は語っている。この本は、今日の歴史のものに対する、私たちの健全な愛着と奮闘心とを呼びさます熱量をはらんでいる・・・ 宮本百合子 「新島繁著『社会運動思想史』書評」
出典:青空文庫