・・・文学の方で最近の傾向はシンボリズムとか、ミスチシズムとか云うのだが、イズムの中に彷徨いてる間や未だ駄目だね。象徴主義で云う霊肉一致も思想だけで、真実一致はして居らんじゃないか。で、私は露語の所謂ストリャッフヌストと云ったような時代……つまり・・・ 二葉亭四迷 「私は懐疑派だ」
・・・が西欧の読者の胸をうったのは、そのシンボリズムが何を語っていたからであったろう。 公然と条理をもって、しかも人間的機智と明察をもって、どこまでもユーモラスに、だが誰憚らぬ正気な状態において諷刺文学がありうる処と時代に、スカートの中を下か・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・しかし、私たちの心のたえることのない欲求である社会的な清らかさ、などを豊島さんのシンボリズムではたして表現しきれるものでしょうか。 それから最後に、今日一種の魅力になっている傾向に、懐疑的な、自分にたいするサディスティックな自虐的な追求・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・二十世紀のはじめのロシアのシンボリズムの婦人詩人ギッピウス、デカダンス文学の作者としての婦人作家が数人数えられた。なかでもウェルビツカヤが女で好色の文学をかくことで有名だった。 文化は依然として、支配階級の手の中にあった。 メレジュ・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
出典:青空文庫