・・・労働者階級にとって、多様な勉強が必要なのは、文学が文化の一つのジャンルであるからほかの部門の勉強も必要であるというだけではない。民主主義文学は、過去の半封建的文学やブルジョア文学の本質とはことなった、よりひろい前進的な社会的土台に立っている・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・小説と批評的な評論とは、ジャンルとしての違いがおのずから語っている形成の過程にこそ各々独自なものをもっているが、その根底となる感動、或は感受性というものは、それが人生と文芸とに対して何かの意味で積極なものを含んだ思意的な強健さであるというこ・・・ 宮本百合子 「地の塩文学の塩」
・・・、そのものの理解、利用面が十分柔軟寛闊に開拓されておらず、同時に所謂科学というものが、旧式の考えかたで、そこに作用する人間性を全く排除しているため、勢い科学と文学との手近な接合点が探偵小説というようなジャンルに求められるのだと考えられる。科・・・ 宮本百合子 「文学のひろがり」
・・・しかしルポルタージュというものは、もう既に一定の文学様式のジャンルをしめるもので、文学製作のいろいろの条件を必要としているものです。ルポルタージュは非常に構成力を必要とします。情景の描写に相当の描写力を求めます。ルポルタージュがさかんにすす・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
・・・文学が生れうるかのような鼓舞激励を与えることは、かえって、地道な新しい文学の創造力の歩みだしを戸まどいさせる。いきぐみばかりつよくて、さて、書くてがかりがつかめるのかわからなくなる。文学ジャンルとしてルポルタージュ文学の奨励だけでも十分では・・・ 宮本百合子 「両輪」
出典:青空文庫