米国のドルを基軸通貨とする国際通貨体制。第二次大戦後、ドルを唯一の金本位通貨とし、各国通貨の為替レートをドルとの間で固定するブレトンウッズ体制のもとで始まり、1973年に変動相場制へ移行した後も実質的にドルが基軸通貨の役割を果たしている。
[補説]1870年代から
第一次大戦前までは、
英国を
中心とする国際金本位制のもとでポンドが基軸通貨として
機能していた。しかし、
英国は第一次大戦で
国力を消耗したうえ、1929年に
発生した
世界恐慌に伴う金融恐慌により
大量の金が
国外に
流出し、1931年に金本位制を
放棄せざるをえなくなった。一方、
米国は第二次大戦を通して金の保有高を
急速に増やし、
最大の経済大国となり、ドルが国際通貨として
台頭。1944年の
ブレトンウッズ協定により、金と固定比率で交換可能なドルを
基準として加盟国の通貨為替相場を
固定する金ドル本位制が
導入され、この
制度を
維持するために
IMF(国際通貨基金)が設立された。
米国は、
拡大する世界経済の
需要に応じてドルを
潤沢に
供給し続けたが、そのために国際収支は
赤字とならざるを得ず(
流動性のジレンマ)、西欧諸国や日本が
復興し、競争力を
回復すると、1960年代以降、
米国の国際収支は悪化。諸外国のドル保有高が
米国の金準備高を大幅に上回るようになると、ドルの
信認が
低下し、ドルを金に換える動きが
加速したことなどから、
米国は1971年にドルと金の
交換を停止した(
ニクソンショック)。ドルを基軸通貨とするブレトンウッズ制は
崩壊し、主要国の
通貨は変動相場制に
移行したが、その後も、
米国の経済規模や金融市場の流動性の高さなどを
背景として、ドルが事実上の基軸通貨としての
役割を果たしている。