・・・博士は、もともと無頓着なお方でございましたけれども、このおびただしい汗には困惑しちゃいまして、ついに一軒のビヤホールに逃げ込むことに致しました。ビヤホールにはいって、扇風器のなまぬるい風に吹かれていたら、それでも少し、汗が収りました。ビヤホ・・・ 太宰治 「愛と美について」
・・・やって来たとする。 彼は、労働者の集会に列席し、職場大会に出席し、ときには大通りの「茶飲所」やビヤホールの群集の中にまじりこんで、一般労働者の仲間の雑談をもきく。そして、彼の見聞を記録するとしても、その作家が、ソヴェト・フォード工場の建・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ ビヤホールで、賢くも確りもしていない善作に向い久内である作者が説明した自由の「自分の感情と思想とを独立させて冷然と眺めることのできる闊達自在な精神」なるものは、そうして見ると、動的なものではなくて、ある身構えによって輪廓づけられている・・・ 宮本百合子 「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」
出典:青空文庫