・・・ 小露地方や、北コーカサスの自然は、詩趣に富んで、自由な気が彼等の村落生活に行きわたっていることは、トルストイ、ゴリキイ、其他の作家の作品に描かれている。フィンランドは、世界中で、一番生活のしよい処だということであった。而して陰惨なペト・・・ 小川未明 「北と南に憧がれる心」
・・・ 十幾年前にフィンランドの都ヘルジングフォルスへ遊びに行った時に私を案内して歩いたあちらの人が、財布から白銅貨のような形をした切符を出して、車掌というものの居ない車掌台の箱に投げ込むのを見た。つまらない事だが、私が今でもこの国この都を想・・・ 寺田寅彦 「雑記(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
・・・スラヴのフバ。フィンランドのフィル。ラテンのピパ。などみんな擬音らしくもありまた関係があるらしくもある。オボーなどもこれと従兄弟である。 おもしろい事には全然ちがった楽器の名前が同じような音から成り立っている例のかなり多いことである。た・・・ 寺田寅彦 「日本楽器の名称」
・・・非常にうるおいあり情趣あるリアリズムの画で、北の海フィンランド辺の海の入江の雨後の感じが活きて居ります。フィンランド辺の海は真夏でもキラキラする海面の碧い反射はなくて、どちらかというと灰色っぽく浅瀬が遠く、低く松などあって、寂しさがある。波・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・彼女は貨車へのっかってフィンランドの国境まで行った。貨車を引っぱっていた機関車はとてものろくはしった上、まるで思いがけないところで立往生した。すると若いもの達は貨車の中からとび出して森へ行った。森で彼等は白樺の木を伐った。機関車はそれをたき・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・ 国際局と外国プロレタリア作家団との連絡の問題について、報告後の討論に際し最も多くを訴えたのはアメリカ、フランス、チェッコ・スローック、フィンランド及びアラビヤ、印度、支那等植民地諸国の代表者であった。 国際局が今後遂行すべき課題が・・・ 宮本百合子 「ニッポン三週間」
出典:青空文庫