・・・という彼の有名な La chanson d'automneの一篇の如きはヴェルレエヌが高踏派の詩人として最も幸福なる時代の作で、その時分には妻もあり友達もあり一定の職業もあった事を伝記の著者から教えられた。して見ると、「過ぎし日の事思出でて・・・ 永井荷風 「夏の町」
時代 中古、A.D. 十一世紀頃――A.D. 1077―A.D. 1095 人物 グレゴリオ七世 ローマ法王 ヘンリー四世 ドイツ帝 老人 ヘンリー四世の守役を勤めた人九十・・・ 宮本百合子 「胚胎(二幕四場)」
・・・ 翁の医学は Hufeland の内科を主としたもので、その頃もう古くなって用立たないことが多かった。そこで翁は新しい翻訳書を幾らか見るようにしていた。素とフウフェランドは蘭訳の書を先輩の日本訳の書に引き較べて見たのであるが、新しい蘭書・・・ 森鴎外 「カズイスチカ」
・・・ Dostojewski は「罪と償」で、社会に何の役にも立たない慾ばり婆々あに金を持たせて置くには及ばないと云って殺す主人公を書いたから、所有権を尊重していない。これも危険である。それにあの男の作は癲癇病みの譫語に過ぎない。Gorki・・・ 森鴎外 「沈黙の塔」
出典:青空文庫