・・・の入口の廊下から、みんなが列をつくっている場所の壁まで、うまく注意をひきつけるように傷害予防のポスターが貼りまわされている。「注意! 注意! 命をすてるな」坑内へすてたタバコの吸殼からガス爆発をする絵が描いてある。「注意! 同志たち・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・六百あまりの人は、それぞれ集団として自主的に行動したのに、たった一人不仕合わせな青年が姉と叔母とにつかまえられて列車にひきずりこまれる悲しい姿を反民主運動の宣伝ポスターのように、全国の新聞にさらされたのはなぜだろう。 あの写真はわたした・・・ 宮本百合子 「肉親」
・・・又、或るスローガンをぶつけて人々の意識を階級的に燃焼させる必要のあるポスターは、材料の政治的把握不足から、ぼんやりしたものが多い。こういうものをやらせるとソヴェトの人間はうまい。この間うちモスクワの至るところ、活動写真館の壁にまでかかってい・・・ 宮本百合子 「プロレタリア美術展を観る」
・・・アメリカの商業ポスター、広告ビラの勘のよさ、手ぎれいさ。気のきき工合。会社と会社が互にきそうその広告、宣伝術に対して、購買者たる市民の側の選択も、発達している。主婦は自分の生活のほんとの必要にたって、一つの罐づめでも選ぶ。そういう選択、判断・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・日大は、古橋さんというポスターのおかげで、大分便宜を得ているのだし、同窓生たちにとっては、われらの青春のチャンピオンであるわけだから、みんなが協力して、せめて消耗にふさわしい食事ぐらい何とか工夫はできないものかしら、というわたしの言葉に、古・・・ 宮本百合子 「ボン・ボヤージ!」
・・・観光日本のポスターがちぢめられて出て来ている。その上、七銭と二銭の切手とは昔のままの東郷・乃木で、国際裁判をからかっているように見える。私たちには私たちの気に入った図案の切手がほしい。そう思うのは、きょうの現実の中で決して私一人ではないと思・・・ 宮本百合子 「郵便切手」
出典:青空文庫