・・・ 一九四九年の三月、保守陣営が絶対多数をしめてからの日本は、基本的人権に関するあらゆる面で人民の側からポツダム宣言の忠実な履行を、あらためて要求しなければならない状態になった。 戦争挑発に反対して平和を守ろうとする闘いと民族の独立、・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
日本の政府がポツダム宣言を受諾して、平和と民主の新しい人民の社会を日本に建設することを世界に向って約束してから今日まで、まる二年とすこしたちました。 この二年あまりの間に、私たちの生活におこった変化をかえりみますと、第・・・ 宮本百合子 「婦人大会にお集りの皆様へ」
・・・ だから、一九四五年八月十五日、日本のファシズム権力が無条件降伏しポツダム宣言を受諾したのち、「聖戦」が帝国主義の侵略戦争であったといわれても、すぐそれを納得しかねる感情が大部分の人民の心にひそんでいる。その心持は今日も決して根絶してい・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・もしそういうことをするならば、言わず語らずのうちにこの愛嬌よい内閣は本質において戦争というファシズムに対して反対しないという恐ろしいことになりますから、ポツダム宣言や連合国憲章が全く愚弄されたことになりますから、愛嬌のよい内閣は正直というこ・・・ 宮本百合子 「本当の愛嬌ということ」
・・・こんどの人間性解放ということは、ポツダム宣言受諾後の日本として、封建性への反逆その否定、ブルジョア民主主義の完成という問題とからんで出されている。 十三世紀からはじまったルネッサンスは、なるほどヨーロッパにおける近代の暁であった。しかし・・・ 宮本百合子 「真夏の夜の夢」
来る二十一日から四日間にわたって日本ではじめての全国的な文化会議がもたれることになった。ポツダム宣言を受諾してから二周年、連合国憲章が出来てからも第二回の記念日を迎えた秋、私たちの日本でこういう文化的な会議がもたれることは・・・ 宮本百合子 「明瞭で誠実な情熱」
・・・ 敗戦以来こんにちまで、日本の学生が、純真な力を傾けて発言し、行動して来たどの一つをとってみても、それはポツダム宣言と日本の憲法が、いつわりのものでないことの証明を求める熱意のあらわれでした。大学法案に反対して、日本の学問と大学の自・・・ 宮本百合子 「若き僚友に」
・・・第一次大戦終了後の大正年代に、新婦人協会など同じ目的のためにさまざまに努力したけれども、今回第二次世界大戦敗北による、ポツダム宣言によって治安維持法を初め沢山の悪法が撤廃される時まで、婦人独自の力で、この悪法を打破ることは遂に出来なかった。・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・そして、ポツダム宣言をはじめ世界平和のために役立つ協定や条約をただの紙きれとしてしまおうとしている者たち、軍備の廃止のために協力するどころか、すでにおそるべき結果を生み出している軍事同盟政策に熱中して、西ドイツに、もとのヒットラーの突撃隊員・・・ 宮本百合子 「わたしたちには選ぶ権利がある」
・・・ ポツダム宣言が受諾されて日本の人の声々のなかに、戦争を悲惨とし、平和と自立とを愛するひびきがきかれるようになってから三度目の八月十五日が来ようとしている。 わたしたちは日本で特にいちじるしい戦争挑発の雰囲気の中でこの八月十五日をむ・・・ 宮本百合子 「わたしたちは平和を手離さない」
出典:青空文庫