・・・○リアリストとしてのレムブラントからレムブラントのリアリズムへの飛躍○病気して居ると 一、早く朝になるのがよい。わるいときは六時頃でも。 一、きれいで元気な女を見たい。 ○日光がうれしい。 ○緑の芽が出て育つ・・・ 宮本百合子 「一九二九年一月――二月」
・・・最も基本的な原因は、ゴーリキイの作風が、自分の雰囲気で濃く描こうとする現実をつつみ込む性質であったからだろうと思われます。リアリストであり、客観的に現実を描こうとしていても、それは、描かれたものがそのものの独自性で作品の現実関係の中に立ち現・・・ 宮本百合子 「長篇作家としてのマクシム・ゴーリキイ」
・・・渉の間に、自分の経済的必要から、種々の或る場合は極めて筋のあやしい事業にまで手を出し遂に悲劇的な生涯を終ったが、それらの社会的実践の間にバルザックは嶮しく現実の社会で対立する利害と渡り合い、あのようなリアリストとして、自身自覚しなかった役割・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」
・・・ リアリストは経験主義者ではないということについて。 私は、婦人作家の中では独特な作風をもっていた田村俊子氏の、作家としての生活振りを思い出す。彼女は日本で極く短い期間にロマンチックな形で現れたインテリゲンツィアの婦人解放運動と前後・・・ 宮本百合子 「問に答えて」
・・・「あらゆるゾラよりも遙かに偉大なリアリスト芸術家」であったがためなのである。 エンゲルスが今日から四十六年ばかり昔イギリスの社会民主主義的婦人作家マーガレット・ハークネスに送って彼女の作品を批評した手紙の中に、以上の消息は明らかにされ、・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・それゆえバルザックの浄らかさは誇張されざるを得なかった。リアリストとしてのバルザックの偉大さと、その偉大なリアリストが無自覚のうちにわが身を一つの檻にとじこめていた微妙なモメントは、この点から今日の読者にときあかされる。 そして、我々は・・・ 宮本百合子 「バルザックについてのノート」
・・・ロマンティストやシュール・リアリストたちの多くは、なぜ自分がロマンティストであり、シュールであるかということを社会とのつながり、歴史の発展とのつながりというひろい視野にたって説明することは出来ない。リアリズムは、社会現象としてのロマンティシ・・・ 宮本百合子 「文学と生活」
・・・漱石は、ブルジョア・リアリストとして自分の最高の到達点で「明暗」の驚くべき冷静、緻密な描写を運びつつ、小説を書いていると塵っぽくてやり切れない、だから詩をつくると云い、日に数首ずつの漢詩をつくっている。私に漢詩を味う力はないが、卒読したとこ・・・ 宮本百合子 「文学における今日の日本的なるもの」
・・・ プロレタリア・農民はリアリストである。日本では、日本の情勢に応じて、彼ら大衆の清掃力を芸術活動の上へ働きかけた。それが、プロレタリア芸術戦線の統一強化として今度の「文戦」の歴史的任務の終結、「ナップ」へのより拡大された左翼作家の組織化・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・しからざればドストイェフスキイが自己を realist と呼んだ意味は通じないであろう。内なる美が真実である時にのみ画家は自然において真実を見る。内なる美が真実である時にのみ、建築家は真実の構造を、真実の装飾を、作り得る。すなわち重大なのは・・・ 和辻哲郎 「『劉生画集及芸術観』について」
出典:青空文庫