・・・現代文学が主題とするヒューマニズム探求の一環として見た場合、D・H・ローレンスの文学は、こんにちの現実を解明するためにローレンス氏方式ではすでに不十分であることを、明かにして来ているのである。 敗戦後の日本に、肉体派とよばれる一連の文学・・・ 宮本百合子 「傷だらけの足」
・・・メーデーを目ざして、われわれが反動支配階級の文化にたいして決定的闘争を高めてゆく、その血の通った一環として理解されなければならないのだ。 例えばプロレタリア・農民の男が、ファシズムに抗し、帝国主義侵略戦争に反対して勇敢に起ったとしても、・・・ 宮本百合子 「国際無産婦人デーに際して」
・・・特に、世界とその一環としての日本の文学が、質的に大きい変転を行い、波瀾を経つつある最近の「十年間あまり、国文学研究の中道が、殆どすべて本文校訂とか稿本作成とか、考証とか、索引作成とかいう資料整理的の仕事それ自体を目的とする範囲を出なかったこ・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・その実際は、六・三制の混乱と、最近全国の専門・大学男女学生が教育防衛復興闘争の一環として立ち上りはじめた学問の自由と独立擁護および授業料ねあげ反対の大運動にもあらわれている。 学生のこういう意志表示を学生の本分にもとるという意見がある。・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・全プロレタリアートの戦線の前進として、その文学運動が推し進められる基本的発展のまじめな一環であると思います。〔一九三三年十一月〕 宮本百合子 「社会主義リアリズムの問題について」
・・・弱いあきらめや、浅はかな見越しをすて真実の世界をつなぐ花の環の一環として、平和を守る世界正義の下へ日本の勤労階級の正義をも結び合わしてゆかなければならない。これこそ、今年のメーデーに期待される重大な一つの歩み出しであると信じる。〔一九四八年・・・ 宮本百合子 「正義の花の環」
・・・大いに期するところは、人類と文学との継続の鎖に更に輝やかしい一環を寄与したい心であると思う。その心の動因は、人間精神の成長とその合理への方向への信頼であり、他の面からそのことを云えば、不合理なものへの承服しがたさへの確信と、その承服しがたき・・・ 宮本百合子 「地の塩文学の塩」
・・・そのようにして綜合し整理し、価値を明らかにした批評は、昔のロシアでベリンスキーやチェルヌイシェフスキーの文芸評論が、解放運動の強力な一環として果した革命的役割を果すはずです。蔵原惟人の評論も、佐多、松田、壺井、宮本の小説も、新しく書き出した・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・ソヴェト同盟で列車妨害は反革命陰謀者たちが主要な一環として実行した挑発行為であった。 九州でダイナマイトを仕かけた事件は写真入りで報道された。しかし犯人も出なければそのダイナマイトというものが果して本当に爆発するものであったかなかったか・・・ 宮本百合子 「犯人」
・・・世界の革命の一環としての日本の革命的人民の文学をもたなければならない。それはわれわれ革命的民主主義作家の任務なのだから、いまはわたしに文学の仕事をさせておく方が大局からみて能率的である。教育委員には教育に関係をもつ人の方がふさわしい。そう言・・・ 宮本百合子 「文学について」
出典:青空文庫