・・・ 土方与志氏が、東宝の大世帯の全体を活用しなければならない条件を考慮しながら観てたのしく、新鮮で変化にとみ、下劣でもないよろこびを、疲れた日本に与えようとした努力は十分につぐのわれた。「真夏の夜の夢」を劇として支えているのは、アテナの二・・・ 宮本百合子 「真夏の夜の夢」
・・・彼も、自分としては下劣な心情の所有者になるかもしれないし、生活に不注意な者になるかもしれない。が、それは問題外だ。「彼は美徳を信じて居る。」云々。 この一章は、ヘンリー・ライクロフトが最も鋭鋒を現した部分と云えよう。 今日の私共がこ・・・ 宮本百合子 「無題(四)」
・・・吾人は最も下劣なる肉的執着の表現と呼ぶをはばからぬ。さらにまたかの卑猥なる言語を弄して横行する一群を見る時、吾人は一高校風の前途を危ぶまざるを得ない。校風の暗黒面にみなぎる悪思潮は門鑑制度、上草履制度の無視ではない、尊き心霊に対する肉的侮辱・・・ 和辻哲郎 「霊的本能主義」
出典:青空文庫