・・・内部の運営が民主的でないこと、プログラム編成が低俗であり昨今は労働、農民、報道、子供のための放送にはっきり民主化からの後退が示されてきていることが世論にのぼっている。しかし、こんど上程された法案のように保守政党が占める両院の承認を経た五年間・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・わたしたちは、一九四九年度の毎日文化賞のための世論調査の結果として、第一位が長崎の永井隆「この子をのこして」であり、第何位かに吉川英治を見出したのであったから。しかし、この一つの事実は、その事実が結論されて来るまでの条件として他のもう一つの・・・ 宮本百合子 「しかし昔にはかえらない」
・・・一九四六年来の出版・読書関係の各種世論調査や労働組合のサークル調査を見ても、わたしの話や作品は、大衆の民主的・前進的感情の何らかの真実と結ばれている。「播州平野」にみちみちている戦争への抗議は人々の生活の底にうずいていないものだろうか。この・・・ 宮本百合子 「事実にたって」
・・・ 日本の権力が、科学によって強化されるプロセスが、催涙ガスの使用とか、指紋採取とかいう面でおし出されていることについて、世論は無批判でありえないのである。〔一九五一年一月〕 宮本百合子 「指紋」
・・・心理学的に、統計的に、社会的世論をつくりあげてゆくための暗示の可能性とその方向の指針として。さもなければ、今日の日本の新聞に、共産主義者は軍国主義者であるというような愚劣な文字がどうしてあらわれ得るだろう。 共産主義のみならず社会主義的・・・ 宮本百合子 「世紀の「分別」」
・・・続されてゆく立証段階で、よび出される百二、三十人の証人と、林弁護人の弁論中にあらわにされた検事団の偽証罪をかざした証人操作法とは、どのようにからみ合い、どのような情景を法廷にくりひろげてゆくだろうか。世論が公正に監視をつづけなければならない・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・ 日本の婦人デーを三月八日から四月十日にきめようとして新聞の世論調査を動員し、旧式な反民主的な婦人運動者たちまでを動員した政府は、世界平和大会やアジア婦人大会への代表の旅券は与えないで、おかいどりを着た田中絹代のために許可を与えたり、陸・・・ 宮本百合子 「婦人デーとひな祭」
・・・わたしたちの人民的世論というものがそのように表現されて自然であるということが分っていれば、小説家にならないからといって、階級人としての現実観察とその評価、批判を通信として書くのがおかしいとか、馬鹿らしいとかいうのが妙だということははっきりし・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
・・・をダレス国務省顧問に託して、アメリカの世論に平和を訴えたことは非常にいいことだった。文学、宗教、婦人運動、教育などの分野でそれぞれの業績を重ねて来ているこれらの婦人たちが、その母としての立場、主婦としての経験から、名誉ある彼女たちの知慧の叫・・・ 宮本百合子 「平和の願いは厳粛である」
・・・それだのに、どうしてその戦争に対する恐怖の激しさに相当するだけの、きっぱりした戦争拒否の発言と平和の要望が統一された世論としてあらわれて来ないのだろう。兵火におびえる昔の百姓土民のように、あわれにこそこそと疎開小包をつくるよりさきに、わたし・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
出典:青空文庫