・・・ 曙覧の事蹟及び性行に関しては未だこれを聞くを得ず。歌集にあるところをもってこれを推すに、福井辺の人、広く古学を修め、つとに勤王の志を抱く。松平春岳挙げて和歌の師とす、推奨最つとむ。しかれども赤貧洗うがごとく常に陋屋の中に住んで世と容れ・・・ 正岡子規 「曙覧の歌」
・・・ 切米取りの殉死者はわりに多人数であったが、中にも津崎五助の事蹟は、きわだって面白いから別に書くことにする。 五助は二人扶持六石の切米取りで、忠利の犬牽きである。いつも鷹狩の供をして野方で忠利の気に入っていた。主君にねだるようにして・・・ 森鴎外 「阿部一族」
・・・もし佐橋甚五郎が事に就いて異説を知っている人があるなら、その出典と事蹟の大要とを書いて著者の許に投寄してもらいたい。大正二年三月記。 森鴎外 「佐橋甚五郎」
出典:青空文庫