・・・とうとうおかみの仲裁でやっとお前が出て来てくれた時、おれがあやまったら、お前が気の毒がって、あなたほんとうにあやまるのですか、それでは私がすみません、私の方からあやまります、というので、ジッと手を握られた時は少しポッとしたよ。地獄ではノロケ・・・ 正岡子規 「墓」
・・・ もうみんな大よろこび、ワッハハ、アッハハ、よう、おらおととい町さ行ったら魚屋の店で章魚といかとが立ちあがって喧嘩した、ワッハハ、アッハハ、それはほんとか、それがらどうした、うん、かつおぶしが仲裁に入った、ワッハハ、アッハハ、それからど・・・ 宮沢賢治 「とっこべとら子」
・・・「ははあ、双晶のオーソクレースが仲裁に入った。これは実におもしろい。」大学士はたきびに手をあぶり顔中口にしてよろこんで云う。二つの声が又聞える。「まあ、静かになさい。僕たちは実に実に長い間堅く堅く結び合ってあのまっくらな・・・ 宮沢賢治 「楢ノ木大学士の野宿」
・・・ 馬さんその他上って来て、種々仲裁したが、勇吉はなかなかきかない。「おらあ、火いつけりゃあ牢にへえる位知ってるだ! ああ知ってするごんだよ、だから放っといてくんろ、畜生! 面白くもねえ、ええい!」 強力だから、あばれると一寸相手・・・ 宮本百合子 「田舎風なヒューモレスク」
・・・ ニーナは真赤になって涙を出しはじめる。仲裁がいる。「子供たち! ニーナとアリョーシャがこういう始末で口論しているが、どうしたらいいと思う? 別々に坐らせようか? それとも一緒に坐った方がいいと思うか?」 そこで級の大衆討論だ。・・・ 宮本百合子 「砂遊場からの同志」
・・・「然り、だが仲裁裁判によって」マクドナルド。 飢餓審判と戦え! 賃金値下げに対してストライキせよ! 少数運動者大会が争闘へ指導する。 新年から我等の日刊新聞を。それを持たないうち我らは共産党じゃない。 先ず犠牲を!・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫