いろはうた【伊呂波歌】
1 平仮名47文字を1字1回使って作った、七五調4句の今様歌。「色は匂 (にほ) へど散りぬるを、わが世誰 (たれ) ぞ常ならむ、有為 (うゐ) の奥山けふ越えて、浅き夢見じ酔 (ゑ) ひもせず」がそれで、鎌倉時代以降、末尾に「京」、あるいは「ん」がつけ加えられるようにもなった。涅槃経 (ねはんぎょう) の偈 (げ) 「諸行無常、是生滅法 (ぜしょうめっぽう) 、生滅滅已 (しょうめつめつい) 、寂滅為楽 (じゃくめついらく) 」の意を訳したものという。弘法大師の作といわれてきたが、現在では否定されている。平安中期以後の作で、手習いの手本や字母表として使われた。最も古くみられるのは承暦3年(1079)の「金光明最勝王経音義」である。→あめつちの詞 →たいに 2 「伊呂波短歌」に同じ。
いろはかえで【伊呂波楓】
ムクロジ科の落葉高木。関東以西の山地に自生。葉は手のひら状に五〜七つに裂け、秋に紅葉する。花は春につけ、暗紅色。名は、葉の裂け目を「いろはにほへと」と数えたことによる。庭によく植え、材は建築・器具用。たかおかえで。いろはもみじ。
いろはがな【伊呂波仮名】
《「いろは歌」はふつう平仮名書きをしたところから》平仮名のこと。
いろはガルタ【伊呂波ガルタ】
カルタの一。いろは47文字に「京」の字を加えた48文字で始まる諺 (ことわざ) を書いた読み札と、その内容を絵に書いた取り札からなる。犬棒 (いぬぼう) カルタなど。江戸後期に始まる。
いろはぐみまちびけし【伊呂波組町火消し】
江戸時代、享保年間(1716〜1736)に町奉行大岡忠相 (ただすけ) が江戸市中に設けた町火消し。いろは48文字から「へ・ら・ひ・京」を除き、代わりに「百・千・万・本」を加えて、それぞれの文字を名に付けた48組に分けた。→定 (じょう) 火消し →大名火消し
いろはこもん【伊呂波小紋】
和服の染め文様の一。いろは47文字を散らして染め出したもの。
いろはじゅん【伊呂波順】
「いろは歌」に出てくる仮名の順に配列すること。
いろはたとえ【伊呂波譬】
「伊呂波短歌」に同じ。
いろはたんか【伊呂波短歌】
いろは47文字と、「京」の字をそれぞれ語頭に置いた、子供の教訓用のたとえ歌。「犬も歩けば棒にあたる」「論より証拠」など。いろはうた。いろはたとえ。
いろはぢゃや【伊呂波茶屋】
1 江戸時代、大坂道頓堀に、48軒あった芝居茶屋。 2 江戸時代、江戸谷中の感応寺の門前にあった私娼街。47軒あったからとも、いろはの文字をのれんに染め出したからともいう。