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・・・もしもコンミニズム文学が、曾て用いた弁証法的考察を赦すならば、新感覚派文学はコンミニズム文学よりも、より以上に明確な弁証法的発展段階の上に、位置していると云うことをも認めなければならないであろう。何故なら、コンミニズム文学は、文学としての発・・・
横光利一
「新感覚派とコンミニズム文学」
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・・・私もまた彼の頽廃について責めを負うべき位置にあるのです。ことに私は彼のためにどれだけ物的の犠牲を払ってやりましたか。物的価値に執する彼の態度への悪感から私はむしろそういう尽力を避けていました。そうしてこの私の冷淡は彼の態度をますます浅ましく・・・
和辻哲郎
「ある思想家の手紙」