・・・日本の紳士が徳育、体育、美育の点において非常に欠乏しているという事が気にかかる。その紳士がいかに平気な顔をして得意であるか、彼らがいかに浮華であるか、彼らがいかに空虚であるか、彼らがいかに現在の日本に満足して己らが一般の国民を堕落の淵に誘い・・・ 夏目漱石 「倫敦消息」
・・・一 女子少しく成長すれば男子に等しく体育を専一とし、怪我せぬ限りは荒き事をも許して遊戯せしむ可し。娘の子なるゆえにとて自宅に居ても衣裳に心を用い、衣裳の美なるが故に其破れ汚れんことを恐れ、自然に運動を節して自然に身体の発育を妨ぐるの弊あ・・・ 福沢諭吉 「新女大学」
・・・ そのクラブで、ソヴェト勤労者は、政治教程、文学、劇、音楽、美術、ラジオ、科学、体育などの研究会をもち、大衆の中からの新鮮な創造力をもりたてている。 十月にはいると、モスクは晩秋だ。 並木道がすっかり黄色くなり、深く重りあった黄・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
・・・一九二八年 二一、八七六一九三三年 三八、二八三 図書室、文学、音楽、美術、体育、政治などの研究室をふくむ勤労者クラブその他は、五ヵ年計画とともにこんな工合に殖えつつある。クラブ 七六四六農民・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・ とてもさかんに体育運動をやってます。 ターニャは笑って七ヵ月のたっぷりふくらんだ自分の腹を軽くたたきながら出て行った。 一月半ばかり前、日本女がモスクワ第一大学附属病院へ入って来て間もない或る日だった。風呂に入れといって、背の高く・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・ 婦人の独自な条件に立って体育、知育、徳育の均斉した発達の必要と、家庭生活における夫婦の「自ら屈す可からず、また他を屈伏せしむべからざる」人性の天然に従った両性関係の確立、再婚の自由、娘の結婚にあたって財産贈与などによる婦人の経済的自立・・・ 宮本百合子 「女性の歴史の七十四年」
・・・機械工体育部水泳選手のドミトリーが、今度は対手だ。本ものだ! 本もののソヴェトのプロレタリアの祝の踊りである。 ニーナは、ほれぼれするような二人の踊りっぷりを見ているうちに、我知らず自分もまだ春の遠い三月の雪の上で楽しい婦人デーの足拍子・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の三月八日」
・・・場所に依ってはとても素晴らしい体育設備をもった所もある。そういう倶楽部の設備を十分利用し、ドシドシ新らしいプロレタリア文化を高めて行くのはどうしても若い連中だ。自主的なこういう文化活動がどんな価値高いものであるかということは革命後十四年目の・・・ 宮本百合子 「ソヴェト「劇場労働青年」」
・・・になると、体育室、水泳プール、大きな演劇の舞台、軍事教育、ラジオ、ピンポン、衛生室、図書室、外国語の研究室、食堂などまである。 共同農場でも同じ様で、大きなものになると、収穫時にはキャンプ生活をやるのだが、その一つのキャンプが「クラブ」・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの「労働者クラブ」」
・・・ 大きい大きいニッケル湯沸しの横に愛嬌のいい小母さんが立って一杯三哥のお茶をのませ、菓子などを売る喫茶部は殷やかな話し声笑い声に満ちている。 体育室の設備のよさは、プロレタリア・スポーツの誇りだ。 医務室がある。 法律相談所・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
出典:青空文庫