・・・民主主義文学運動がはじまってから蔵原惟人、小林多喜二、宮本顕治にふれて、当時の検事局的に歪曲された「政治的偏向」批判をそのままくりかえし、これらの人々の活動の積極面――プロレタリア文学運動の成果の抹殺が試みられた。それは、客観的には、非民主・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」
・・・林房雄その他の人々によって、それまでのプロレタリア文学運動の指導方針の政治的偏向ということが一方的に云いたてられ小林多喜二の虐殺によっておじけづいた人々が心理的にそれにどんどんまきこまれて行った。丁度ソヴェト同盟では前年に第一次五ヵ年計画を・・・ 宮本百合子 「解説(『風知草』)」
・・・そして一方に、文学に対する経済主義の偏向があらわれた。民主的評論、批評の活動は、あやまった一方的な見かたを正しい関係におき直すために多くのエネルギーを費さなければならなかったが、いわば、そこで息切れした。田中英光の「オリムポスの果実」からは・・・ 宮本百合子 「現代文学の広場」
・・・ プロレタリア文学の領域でも左右両翼への偏向がプロレタリアートによって正当な批判を受けたのであった。 プロレタリア・リアリズムにむかっての具体的な出直しの試みとして、ソヴェトの文学は大胆に生産の場所からの生のままの報告を、領分の中に・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・それは従来のプロレタリア文化・文学運動は、その指導者であった蔵原惟人、小林多喜二、宮本顕治らの政治主義的偏向によって、文化活動から政治活動へ追いこまれ、創造力を枯渇させ云々という筋であった。 その後の十余年間に、文学に心をよせる人々が読・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・プロレタリア文学の分野にあった人々の或る部分は、新たなリアリズムの便宜的註解に拠って、従来のプロレタリア文学運動と対立し、その頃流行った政治的偏向という言葉で批判しはじめたのである。 この時期に林房雄氏が出獄した。プロレタリア文学の仕事・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・そのために、こわい、いやだ、それはまちがっている、という声々を治安維持法に向って発せず、かえって、緊張した顔をわきに向け集めて、社会主義リアリズム論争、文学指導の政治的偏向という主題に熱中した。文学理論は、そのものとしてとりあげられず、すで・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・昔のプロレタリア文学運動にたいする政治的偏向の批判とか、文学における世界観の課題にたいする過小評価、作家論の場合は平野謙の小林多喜二にたいする批評などのようなまったく本質からはずれた形をとります。そして、一貫してプロレタリア文学運動に指導的・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・ × 後、常任中央委員会によって確乎周密な「右翼的偏向に対する決議」が発表された。 三月号『プロレタリア文学』が敵に奪われたため「前進のために」は時間的に前後した観があるが、内容は今日においても十分積極的意義・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・ 同志小林が不屈な精神によって新たな任務を遂行し、しかも最近どんなに刮目すべきテンポで理論家としても発展しつつあったかは「右翼的偏向の諸問題」に関して昨年十二月以来プロレタリア文学、文化に堀英之助の筆名によって発表された諸論策が物語ると・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
出典:青空文庫