・・・当時文化活動に献身していた一人の同志の健気の生活から感銘された作品である。同じころ、創作のためには非常に無理だった条件のなかで、しかも小説をかく必要があったとき、佐多稲子が「進路」という一篇をまとめたことは、彼女の作家的閲歴としてもプロレタ・・・ 宮本百合子 「解説(『風知草』)」
・・・現代の生活は複雑で、幸福もそれをこわす条件も四方八方のつながりのうちに生かされて変化を受けつつあるのだから、今日私たちが、現実の前で膝をついた形でなく、現実の上に美しく健気に立った形としての幸福を獲ようとすれば、自分の生まれ合わせた社会と自・・・ 宮本百合子 「幸福の感覚」
・・・まだ復員して来ない留守を、女の手で支えている健気な婦人たちが、何万人あることでしょう。その方々は、どういう思いで、今日を送り迎え、自分の投票を考えていらっしゃるでしょう。 私たちは、今日の日本の立て直しと、自分たちの生活改善の実際の必要・・・ 宮本百合子 「幸福のために」
・・・ 世界の民主的な勢力が、私達日本の健気に働く女性の一人一人を支援している力を確信してアジアの幸福と日本の幸福が一つものとして解決されてゆく様に努力致しましょう。 私は去年の暮から大変体を悪くして、外出や講演が出来なくなったのでいろい・・・ 宮本百合子 「今年こそは」
・・・何故なら、それらの若い娘さんたちは、働く健気な婦人たちだのに、まだその働きの性質が自分の肉体に強いている無理を知らず、自分の生活の生理の要求に耳を傾けるだけの生活上の能力をもっていないという事実がそこに現れているのであるから。 イギリス・・・ 宮本百合子 「今日の生活と文化の問題」
・・・つつ、あるいは絶望し、あるいは健気にその苦痛、困難と闘おうとする日本人移民、それらの移民を中間で搾取する日本人の親方、密告、不正入国者の生活などを、この「小さき歩み」は物語ろうとしている。今月発表されたのは前篇であり、後篇での見とおしはつけ・・・ 宮本百合子 「十月の文芸時評」
・・・戦争が世界的な規模になって来ている今、若い世代は次第に沈着にめいめいの運命を担って最善をそこにつくしてゆく健気な心になっている。友情もそれらの波瀾を互の人生的なものとして凌いで行こうとするその雄々しさと思いやりとで結ばれて行くように変化しつ・・・ 宮本百合子 「生活者としての成長」
・・・という題で訳されているこの物語の、条件的ではあるが否めない全体の美しさ、不仕合わせを、そうでないものにかえてゆくファアデットの女らしく而も健気で人生的な気力とそれを語る作者の情熱の味いを知っている人々にとって、正直なところ島木氏の不満とその・・・ 宮本百合子 「生産文学の問題」
・・・それらの若い、孤独な妻たちは、季節季節の色どりを健気に身をつけて、さまざまの職業につき、経済上の自立とともに未来のひろやかな展望をもとうとしている。未亡人という表現が重く苦しく再登場して来る場合は、大抵、その妻たちの生活問題が切迫したときで・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
・・・恐ろしく狂暴な自然に抗しながら、健気に良人を扶けて、家を守り、殆ど生命を賭して子を育てる女性に対して、如何なる男性が侮蔑の声を発せられましょう。 一朝、野蛮人の襲撃に会えば、彼等は、只、彼等の団結によってのみその敵を防がなければならない・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
出典:青空文庫