・・・それは或る気温の関係で太陽の周囲に白虹が出来、なお太陽を中心として十字形の虹が現われるのだが、その交叉点が殊に光度を増すので、真の太陽の周囲四ヶ所に光体に似たものを現わす現象で、北極圏内には屡見られるのだがこの辺では珍らしいことだといって聞・・・ 有島武郎 「北海道に就いての印象」
・・・それで烏瓜の花は、云わば一種の光度計のようなものである。人間が光度計を発明するよりもおそらく何万年前からこんなものが天然にあったのである。 烏瓜の花が大方開き切ってしまう頃になると、どこからともなく、ほとんど一斉に沢山の蛾が飛んで来てこ・・・ 寺田寅彦 「烏瓜の花と蛾」
・・・それでからすうりの花は、言わば一種の光度計のようなものである。人間が光度計を発明するよりもおそらく何万年前からこんなものが天然にあったのである。 からすうりの花がおおかた開ききってしまうころになると、どこからともなく、ほとんどいっせいに・・・ 寺田寅彦 「からすうりの花と蛾」
・・・この点を確かめるには、実験室内でできるだけ気流をならしておいて、その中で養ってあるとんぼにいろいろの向きからいろいろの光度の照明をして実験することもできなくはない。しかし実験室内に捕われたとんぼがはたして野外の自由なとんぼと全く同じ性能をも・・・ 寺田寅彦 「三斜晶系」
・・・のすぐ隣のベータ・ライラの面白い光度の変化を注意させた。それから夜ごとに気を付けて見ていると果して天文雑誌にある予報の通りに光が変るという事実が子供の頭にどういう風に感ぜられたか、それは私には分らなかった。 空を眺めているうちに時々流星・・・ 寺田寅彦 「小さな出来事」
・・・それで問題も物理的に明白な意味のあるものにするには、例えば海面における光度の百分一とか千分一に減ずる深さ幾何とかいう事にしなければならぬ。このように問題の分析が出来てしまえば、それから一つ一つの問題について別々に研究し、その結果を綜合して初・・・ 寺田寅彦 「物理学の応用について」
・・・そっちで『科学知識』をよんだらスタンドの科学的光度のことが書いてあって、明るく視るスタンドが科学的な計算によってつくられたというのを知りました。あの暗いところで、そういう知識を得ました。家へ帰って真先に買ったのはそれ。三段に光度が変えられ、・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・桑原武夫の評論の中でも、この「レンズの光度の低さ」は「日本的方法の限界を示し」、日本の文学に共通な後進性として、鋭いフォークで刺されている。そして、スタインベックが旅行記をかいたように、その他ヨーロッパの誰彼が旅行記をかいたように、日本の作・・・ 宮本百合子 「心に疼く欲求がある」
・・・襖に当って屈曲した三尺幅の光の波が、くっきり斜に、表現派の舞台装置のように、光度を違えて、模様を描いて居る。 ◎ 宮原氏と原稿の話をした時、二十四字づめを使って居ると云うと 彼は「それ丈は一寸違って居・・・ 宮本百合子 「一九二三年夏」
出典:青空文庫