・・・しかし今回のように全日本的規模において学問の自主性のために休業が行われたことはなかった。この現象はこんにちの社会生活のあらゆる面で、さほど進歩的でない学生にさえも、民主的な民族自主の必要がどのように切実に実感されているかという事実を語ってい・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・しかし、こんど上程された法案のように保守政党が占める両院の承認を経た五年間任期の五人の委員会を、不信任案をつきつけられている首相が任命して全日本の放送事業が統制されるとしたなら、現在の政府の堕落と思い合わせ日本のラジオの自由と民主化を期待す・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・いまもそう思っている心にかわりはないけれども、日々の現実で、益々切実に平和が要求され、いよいよ迫った真剣さで、平和のために全日本が行動しようとする意欲は示さないのである。日本の人民の心理にある軍国主義の残滓は、まだまだ戦争を人類的犯罪として・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・そのひとことが、全日本の女性の胸の底にこだまとなってひびくことを願うだろう。 日本には百八十八万人の未亡人がいる。その一人一人が母ではないかもしれないけれども、妻としての人生に傷をうけなかったひとは一人もいまい。世界の善意はこんなに平和・・・ 宮本百合子 「その願いを現実に」
・・・婦人民主クラブは、少くとも人間として社会に生きようとする全日本の婦人の友だちでなければならないし、どんなに弱々しい誕生をしたにしても、日本がまた再び戦争にまきこまれないためには、真実の努力をおしまず平和をかちとるための存在でなければならない・・・ 宮本百合子 「その人の四年間」
・・・十二月〔中旬〕、全日本無産者芸術団体協議会作家同盟に加盟した。平凡社から『宇野千代集』と合冊で『中條百合子集』が出版された。一九三一年「三月八日は女の日だ」「スモーリヌイに翻る赤旗」「ソヴェト五ヵ年計画と芸術」そ・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・この二三年来、日本の女の力はおびただしく生産の場面に進み出しているのだが、とくに来年の春からは、全日本の女学校、専門学校卒業生に対して、職業紹介所を通じての勤労への動員が行われることになった。一昨年あたりから、小学校を卒業した少年少女たちが・・・ 宮本百合子 「働く婦人の新しい年」
・・・プロレタリア啓蒙婦人雑誌『働く婦人』に毎号加えられる支配階級の不法な弾圧は、日本プロレタリア文化連盟、即ち全日本のプロレタリア文化運動の上に加えられる敵の弾圧として、徹底的に強力に抗議されなければならない性質のものである。 従来日本には・・・ 宮本百合子 「婦人雑誌の問題」
・・・ 今日の大会が、全日本の婦人にとって、希望のたいまつとして発足することを心から願います。婦人によってともされる希望の光が、全日本八千万の人民の独立と平和と自由とのために、つよく美しく輝くことを祈ります。〔一九四七年十二月〕・・・ 宮本百合子 「婦人大会にお集りの皆様へ」
・・・と合体して全日本無産者芸術連盟を結成した。 それから三年余だ。自然発生的に日本プロレタリア文学運動の先行的任務を負った「文戦」の作家たちは、ロマンチシズム、未組織な個人的センチメンタリズム、政治的行動理論の不決定さで右や左へ揺れながら、・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
出典:青空文庫