・・・ 第一次五ヵ年計画のすんだ今では全農戸の七割が集団農場化し、耕作機械、刈入機械の配給所は三千百ヵ所にまで殖えた。耕地面積は五年前を一〇〇とすると一四五で、世界のよその国ではアメリカでも農業恐慌で耕作面がどんどん縮少しているのに比べて実に・・・ 宮本百合子 「今にわれらも」
・・・ 一九二九年には、ソヴェト全農戸の五〇パーセントが集団農場化し、農民の心理は急速に変化しはじめた。生産手段の工業化とともに視野はひろがった。馬鋤を押して行きつ戻りつする個人耕作の畦が消えたといっしょに、社会主義的な方法で農業生産に従事す・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ ソヴェト同盟の全農戸の半分が集団農場に組織された。 集団農場で働く農民の収入は、個人耕作をやる農民の年収の倍、或は三倍だ。それはそうだろう。第一税がひどくやすい。集団農場を組織して三年間は無税だ。種代、農具代は、政府の補助がある。・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の解放された生活」
・・・そして、この七月の統計によるとソヴェト同盟全農戸の六〇パーセントが集団農場に組織された。 森君は、マルクシズムとか、階級闘争とかいろいろの言葉を文中につかっているが、実際はそのABCさえも理解していない。「仮にこの武器によって次第に階級・・・ 宮本百合子 「反動ジャーナリズムのチェーン・ストア」
・・・近隣の三部落も全農支部を組織して勇敢に闘争している。中でもこの部落は四・一六と二・一六とに犠牲者を出した。組合員は地主との闘争の焦点をハッキリ土地問題において勇敢にやっているのだ。部落の小作料はもう五年間も未納だ。 × この一見・・・ 宮本百合子 「飛行機の下の村」
・・・否、余裕があるなら全農も全商もよい。要は「人間の本領」を失わない事である。この決心のもとに虚栄と獣性と罪悪との渦巻く淵を彼岸に泳ぎ切る。若きダンテはビアトリースの弔いの鐘に胸を砕かれてこの淵に躍り入った。フロレンスの門の永久に彼に向かって閉・・・ 和辻哲郎 「霊的本能主義」
出典:青空文庫