・・・ 先生はわが邦歴史のうちで、葡萄牙人が十六世紀に始めて日本を発見して以来織田、豊臣、徳川三氏を経て島原の内乱に至るまでの間、いわゆる西欧交通の初期とも称して然るべき時期を択んで、その部分だけを先年出版されたのである。だから順序からいうと・・・ 夏目漱石 「マードック先生の『日本歴史』」
・・・然るに今些々たる枝葉よりして、改進一流の内にあたかも内乱を起し、自家の戦争に忙わしくして外患をかえりみず、ついにはかの判然たる二流の分界も、さらに混同するのおそれなきに非ず。もとよりこの二流は、はじめより元素を殊にするものなれば、とうてい親・・・ 福沢諭吉 「学者安心論」
・・・ 蓋し勝氏輩の所見は内乱の戦争を以て無上の災害無益の労費と認め、味方に勝算なき限りは速に和して速に事を収るに若かずとの数理を信じたるものより外ならず。その口に説くところを聞けば主公の安危または外交の利害などいうといえども、その心術の底を・・・ 福沢諭吉 「瘠我慢の説」
・・・ スペインの内乱とともにヨーロッパはますます戦争の危険にせまられた。エリカ・マンは、一九三六年、アメリカへゆき、スペイン救済の必要と、ナチス・ドイツが、戦争の温床であることを警告した。第二次大戦が勃発してから、エリカ・マンの反ナチ闘争と・・・ 宮本百合子 「明日の知性」
・・・ 第二回の文化擁護国際作家大会は、一九三七年十月、内乱のスペインに開かれた。この大会は、フランコのファシズム政権に反対してたたかっているスペインの共和政府の所在地バレンシアに第一日の集会をひらき、のちマドリッド、バルセロナと移って、十日・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十一巻)」
・・・そして、外国の新聞はこの戦闘行為の性質を解剖して、その背後の勢力を考えるとこの白沙漠に於ける戦闘はスペインの内乱の如き性質を持つものであると言っている。 今やイタリーにとってアフリカの植民地問題は従来のような人口問題の解決法としての域を・・・ 宮本百合子 「イタリー芸術に在る一つの問題」
・・・ スペインにおける旧い支配者たちによって内乱が企てられたのは去年の七月であった。二年目の今日では、独伊両国の干渉戦と化し、本質的に最も深刻な歴史的衝突の姿を示していることは周知である。殆どすべての学者、芸術家がマドリッド政府の側に在り、・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
出典:青空文庫