・・・我々は、そこで、先進的なプロレタリアートとその指導党とが、どんな困難に出会い、どんな成功をよろこびつつ、社会主義の達成に努力しているかを、知らなければならない。 何の為にブルジョア国は結束して国際連盟までを動員し、ソヴェト同盟に向って世・・・ 宮本百合子 「若者の言葉(『新しきシベリアを横切る』)」
・・・近衛秀麿氏が今度それを改作する由、お蝶夫人が歌手で、ピンカートンである音楽家が京都へ演奏旅行をして、最後は、お蝶がヨーロッパへ演奏に行ってその音楽家と出会いハッピーエンドになるように改作するのだそうである。映画はこの筋を既につかい古している・・・ 宮本百合子 「雨の小やみ」
・・・寒い寒い板のような空気の中で、手は懐手が出来るが耳は懐へしまえないから霜やけをかゆがりながら、その日記の部分をみていたら、私にとってまことに興味ある一文に出会いました。 それは、明治四十二年三月二十日の日記です。漱石は「二葉亭露西亜で結・・・ 宮本百合子 「含蓄ある歳月」
・・・ ところが、だんだんと立つうちに、彼女はまったく驚き、混乱せずにはいられないいろいろなことに出会い始めた。 赤という色は、それが赤であるかぎり、誰に見られても、どこに置かれても変りない赤であると思っていた者にとって、まったく同じその・・・ 宮本百合子 「地は饒なり」
・・・蒲田で、澄子その他が麻雀をして遊んでいると、その遊戯を知らない何とか君という、ひどく太い眉毛の若者が傍のソファで仮睡をし、夢で女賊マジャーンに出会するという筋なのだが――マジャーンが、スワンソンの蜂雀通りの扮装でスクリーンの上に蜂雀通りの順・・・ 宮本百合子 「茶色っぽい町」
・・・度々同じ閲覧室で出会い、ときには必要な本の索引のひきかたをきき合ったりすることから、婦人閲覧室の仲間が出来て、東京でたった一つ、それがきっかけとなっている興味ある婦人たちのグループがある。その人たちは、十年前には、それぞれ専門学校生徒だった・・・ 宮本百合子 「図書館」
・・・よく東京から来た汽車に出会い、畑の中に佇み百姓娘のように通過する都会的窓々を見上げた。知った人が一瞬の間に、おや! と自分を認めたかもしれないと可笑しがった。今年は、郊外へ引越したし、多分何処へも行きはしなかろう。――行けぬという方が正しい・・・ 宮本百合子 「夏」
・・・ 恐ろしい事にも度々お出会になった御方でございますわ。 私達の驚かない様にしずかにわけをお話しなさって下さいませな。 これだけの事を知って故を知らないのは尚恐ろしい気持がいたしますもの。老近侍 荷の勝ちすぎるお望みじゃ……。・・・ 宮本百合子 「胚胎(二幕四場)」
・・・ 切角人格的に尊敬し得る異性に出会い、まことに愛されもし、漸々遅蒔きながら人生が実りかけようとすると、今度は予想外の死で、万事は、動揺と不安とへの逆転になってしまいました。 彼女にとっては継子である嗣子夫妻との間に理解を欠き、亡夫の・・・ 宮本百合子 「ひしがれた女性と語る」
出典:青空文庫