ぶんしどうりきがく【分子動力学】
物質の状態やさまざまな物理現象を、分子または原子の微視的なふるまいから説明する学問領域。近年、コンピューターシミュレーションの能力が急速に発達するにつれ、分子間力をはじめ、より多くの分子や原子の間にはたらく力や、位置、状態を取り扱うことが可能となり、巨視的な現象を従来にくらべて正確に予測・再現できるようになった。モレキュラーダイナミクス。
ぶんしガスうん【分子ガス雲】
⇒分子雲
ぶんしかんいんりょく【分子間引力】
遠距離で引力としてはたらく分子間力。
ぶんししんかのちゅうりつせつ【分子進化の中立説】
生物のゲノムに見られる突然変異による分子レベルの違いの大部分は、自然選択の観点からは有利でも不利でもない中立的なものであり、それらが種内に偶発的に固定され、進化の主要因となるという説。昭和40年代に木村資生 (もとお) が提唱。中立進化説。中立説。中立突然変異説。
ぶんしせんエピタキシー【分子線エピタキシー】
高真空下で金属などの材料を蒸発させ、ビーム状の分子線を生成し、基板に照射することで結晶成長を促す手法。真空蒸着の一種。集積回路製作のためのエピタキシャル成長に利用される。分子線エピタクシー。MBE(molecular beam epitaxy)。
ぶんしそしきか【分子組織化】
分子が自発的に集まって秩序だった構造を生み出す現象。自己組織化の一種で、超分子やミセルのほか、生物の脂質二重層と同様の構造を人工的に作製した合成二分子膜などが知られる。
ぶんしかがくけんきゅうじょ【分子科学研究所】
分子の構造・機能等に関する実験的研究およびこれに関連する理論的研究を行う大学共同利用機関。自然科学研究機構に所属。昭和50年(1975)設立。愛知県岡崎市に所在。IMS(Institute for Molecular Science)。
ぶんしきかい【分子機械】
機械的動作をする分子の集合体。生体内に広く存在する生体内分子機械、有機化学を駆使して人工的に合成した合成分子機械、生体内分子機械を加工した半人工分子機械に大別される。生体内のATP合成酵素や筋肉運動を司るミオシンが知られるほか、ロタキサンやカテナンといった合成分子機械の作成にも成功している。とくにその大きさがナノメートル程度のものはナノマシンともいう。分子マシン。
ぶんししんかのほぼちゅうりつせつ【分子進化のほぼ中立説】
分子進化学の学説の一。分子進化の中立説を拡張し、分子レベルでわずかに有害または有利である突然変異が生じた場合、生物集団のサイズと分子進化の間に相関があり、集団サイズが大きいほど、進化がゆっくりと進むという説。1970年代に太田朋子が提唱。のちに同研究により、2015年にクラフォード賞を受賞。ほぼ中立説。弱有害突然変異体仮説。
ぶんしにんしき【分子認識】
分子がある限られた化合物に対して親和性や選択性をもつこと。生化学分野で広く見られ、DNAとたんぱく質、抗原と抗体の間で分子認識が有効にはたらいていることが知られる。