・・・ この食べもの調査は相当こまかに分類もして調べられているのだが、家庭の主婦についての調査項目がなかったのは何故だったのだろう。家庭の主婦の心労や骨折や或は無智が、職工さんのお弁当の量は多くて質の足りない組合わせを結果して来てもいるだろう・・・ 宮本百合子 「「うどんくい」」
・・・日本の今日の文学は、人間感情のリアリティーとして思意的な感情というものを所謂理性とか理知とかいう古風な形式にしたがった心理の分類によらぬ情緒そのもののリズムとして、情感として、どこまで承認し且それを描き出しているであろうか、と。 これは・・・ 宮本百合子 「現実と文学」
・・・悪に誘われ――それが悪とさえわきまえず悪におちいる少年少女の、垢のついた小さい十本の指を、拇指から小指へとくっきり指紋にとって、それを何万枚警視庁にためて分類したとしても、わたしたちの日本の苦しみと悲しみはへりはしない。 警視庁の役人は・・・ 宮本百合子 「指紋」
・・・前年度の回顧の中の第一の分類に属する丹羽文雄氏が「私は小説家である」といういせいのいい論文で、社会小説を主張して私小説から脱却しようとする今日の潮流に合していますが、一社会人として社会の進歩の歴史に対して責任を負わない客観主義に立つ社会小説・・・ 宮本百合子 「一九四七・八年の文壇」
・・・劇場労働の種類が三つに分類されている。働くものの資格が十級あって、やる労働の種類の基本賃銀に資格を示すパーセントをかけたものだけ貰うんだ。 職業組合に加盟しているから、不熟練労働者で五十ルーブリ位もらってるものでも、失業保険その他で保・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ ロンブロゾーは、警察官の先入観念に一つの犯罪型という骨相上の分類を加えてやったが、失業と夫婦生活の破壊との生々しい関係、失業と売笑との直接な関係、大多数者の慰安ない生活と低劣なままに繋ぎとめられている文化水準とアルコール中毒との具体的・・・ 宮本百合子 「花のたより」
・・・土地によると二つの型がはっきりと分類されていて面白いと思う。 それから、段々職業婦人というものが多くなって、女の外出ということが繁くなるに従って、一つは綺麗ではあるが二三年でもう棄ててしまう安もの――棄ててしまっても何等惜しくないの・・・ 宮本百合子 「二つの型」
・・・二人の筆者は、いわゆる転向の問題賛否それぞれの見解を今日の現象の上にとりあげ、内容の分類を行い、問題の見かたをわれわれに示した。 そもそも転向作家に対してその行為を批判し得るのは、抵抗しつづけている者だけであるという結論に至るらしい大宅・・・ 宮本百合子 「冬を越す蕾」
・・・ 投書を分類する。それはずっとやられているだろう。けれど、放送局に来るハガキ投書を整理して数を出すだけでは、今日聴きての心理に印象されている一種の消極な感じの原因を生々しくつかんで、それをとりのぞくことは出来にくそうに思われる。 一・・・ 宮本百合子 「ラジオ時評」
ついこの頃、科学の仕事をしている友人から大変興味のある話をきいた。それは植物の分類に関することで、従来の分類は、目で見えるだけの葉っぱの形、花の形、実の工合などが目安でされていた。鋸状の葉っぱは葉っぱの目に見えるその特徴に・・・ 宮本百合子 「リアルな方法とは」
出典:青空文庫