・・・ 高等小学上級生、中学初級生が、予科練へ送りこまれて行ったあの列伍の姿を忘れることが出来ず、彼等をむざむざ殺した者たちのきょうの安泰について許すことが出来にくい。生命の否定・人格無視・人種間の偏見を根幹とした軍事権力の支配とその教育のも・・・ 宮本百合子 「生きつつある自意識」
・・・どんなに見かけのいい形容詞に飾られようと、小市民作家として完成するために私は党の列伍に加ったのではない。 投書に答えたことばじりをとらえて、私が文化反動との闘争をそらそうとでもしているかのようにこじつける河上氏の眼界はあんまり小さい。こ・・・ 宮本百合子 「河上氏に答える」
・・・やがては出迎の妻も子も夫と父や兄の列伍に加って行動する日も来るのである。〔一九四九年七月〕 宮本百合子 「肉親」
・・・は、体をうしろに反らせた駈足となり、幾本もの旗は列をとりまいてひらめき、わっしょ、わっしょという地鳴りのような声々とザッザッ、ザッザッと規則正しくふみしめる靴音は津波のように迫って、やがてその蜒々たる列伍は、歴史的な時間の彼方に次第次第と遠・・・ 宮本百合子 「風知草」
・・・それだからこそ学生の運動の列伍の周囲には、常に労働者階級をはじめ、あらゆる人々のもっている日本の善意が篝火となって結集して行かずにいかなかったのであると信じます。 支配階級は、すでにこんにち、人民の理性の声にたえ得なくなって来ていま・・・ 宮本百合子 「若き僚友に」
出典:青空文庫