・・・ということは、こんにちの社会情勢について、国際情勢について、もっとも多くの知識をもち、歴史的見通しをもった、いわば前衛的な人々が、大胆に権力と対決してゆくというだけの単純なことではありません。「進歩」ということは、その時代の常識の最高の線に・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・ポッツリ切りはなされている亀のチャーリーという男が、ニューヨークには、ほかの日本人労働者も学生も商人もいるであろうのに、それらとはちっともかかわりなく、またアメリカの労働者、その前衛とも何の有機的結合をも示さず、ひたすらアメリカの子供に向っ・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・ カターエフの「前衛」がワフタンゴフ劇場で演じられる。 レーニングラードからきたトラムは農村における集団農場組織にからんで起ったコムソモール悲劇をみせた。 エム・オー・エス・ペー・エスの「憤怒」も集団農場の組織を主題としたものだ・・・ 宮本百合子 「インターナショナルとともに」
・・・民衆の歴史の刻々の推進と、その前衛としてのわれらの党がおうている任務は、きわめて洋々たる前途をもっている。たっぷりした実践力のあることと、理論的発展の可能をもつこと、この二つは、欠くことのできない新しい活動家の資質である。 立候補に決定・・・ 宮本百合子 「大町米子さんのこと」
・・・というこの小説の世界にとって重要なモメントとなっている女性の生活闘争の傷痕の問題や、プロレタリア前衛党が再結集されてゆく過程及びその階級活動全般における各種の専門活動の関係とその評価についての問題。日本の監獄が治安維持法の政治犯と云っても非・・・ 宮本百合子 「解説(『風知草』)」
・・・ 党とそれを支持する労働者農民が、五ヵ年計画第一年から農村集団農場化の実践によって経験した国内の反動・右翼日和見との闘争、極左主義、前衛主義の克服等は、光彩ある歴史の中でも、画期的な価うちをもつものであると思う。 全露農民作家協会の・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ だが、現在の日本の有様では前衛的闘士ばかりか全く平凡な一労働者、農民、勤人、学生でも、留置場へ引ずり込まれ、脅され、殴られ、あまつさえ殺される可能が非常に増している。極めて当然な賃銀値上げ、待遇改善を要求しても直ぐ警察だ。学生や職場の・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・プロレタリア文学の時代、その最後の段階で、「前衛の目をもって描け」と云われたことは、社会主義リアリズムへ展開して、もとよりその核心に立つ労働者階級の文学の主導性を意味しているのであるが、前衛の眼の多角性と高度な視力は、英雄的ならざる現実、そ・・・ 宮本百合子 「心に疼く欲求がある」
・・・などが生れ、プロレタリア文学の理論は、当時国際的な革命的文学運動の課題となっていた唯物弁証法的創作方法の問題、世界観の問題、前衛の文学の問題などをとりあげた。 西欧の諸国では、彼らの文化が全体として市民社会の経験をもち、自身の発展の推移・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・ 演壇に吸いよせられ非常にいきいき反応しつつもう始って三時間近くなるだろう演説をきいてるのは、いわゆる自覚ある労働者、三月八日の女主人、労働婦人及赤ネクタイをつけた彼等の前衛的後継者たちばかりではない。 細い亜麻色のお下髪を小さい背中に・・・ 宮本百合子 「三月八日は女の日だ」
出典:青空文庫