・・・同志小林が前衛として益々全闘争の裡に深く入り、政治的に鍛練されることによって、これまでは謂わば外から描いていた積極的な主題を遂にその内側から書けるようになって来たことを示すものなのである。「党生活者」は、真にボルシェヴィクらしい前衛作家・・・ 宮本百合子 「小説の読みどころ」
・・・ 特にピオニェールは、プロレタリア階級の前衛として社会主義社会建設と拡大とのために必要なあらゆる注意のもとに教育されつつあるのだ。 教育は、決して学校の教室においてばかりされるものではない。それはブルジョアの親方でもよく知っているこ・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・この生きた関係は、現在の日本の社会感情や、前衛党とその外との知的関係のありかたのすこし前方に進出したものである。合法党として存在しはじめてわずか一年を経たばかりの日本の党が、よしんばまだ十分豊饒な文化性を溢れさせていないとして、また組織人の・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・今日の世界は、社会の歴史を前進させ、不幸のより少い社会をつくるための悲痛にして名誉ある前衛大部隊として、諸民族の良人を失った妻たち、母たる妻たちの幾千万の発言を期待しているのである。〔一九四六年十二月〕・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
・・・そして、一貫してプロレタリア文学運動に指導的な影響をもった日本の前衛党にたいする反撥・自己主張の方向を暗示していることが目だちます。これは、じつに私たちにさまざまの感想をよびさまします。日本のインテリゲンツィアにはなんと自主の実感がかけてい・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・同志小林が敵に虐殺されたことによって、自身の未完成を揚棄し得たかのように考えるとすれば、それは階級的前衛に加えられる敵の悪虐の真相を、大衆の面前から押しやり、復讐の目標をそらすものである。 われわれは先ず同志小林の業績を正しく階級的に評・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・ 多難な運動は、バラの道によって人類を解放させないのである。前衛としての知識人の負う艱苦、犠牲は運動の退潮期には猛烈であるから、一般的敗北の跡の検討ということは、冷静に、確乎性をもって歴史的な眼から行われ難い。船が難破しかかったとき、最・・・ 宮本百合子 「全体主義への吟味」
・・・例えばカターエフが「前衛」を書いて、それをワフタンゴフ劇場が上演した。だが「前衛」は階級的闘争を個人的な感情の対立をきっかけとして描写したところから、多くの欠点を持った。トラムの演じた集団化のアジプロ劇は政治的な問題を極く見易い農村の日常的・・・ 宮本百合子 「ソヴェト「劇場労働青年」」
・・・そして、ロシア・プロレタリア作家同盟の機関紙『文学前衛』が十ヵ月もこの作品について沈黙を守っていたことを非難した。 ベズィメンスキーは、雄弁だ。ところが、自分の隣の席に、一人党員らしい若い女が、男の伴れと見物している。男はずっと年上で、・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・世界の人民の解放と民族自立との社会主義達成のために、ソヴェトの生産労働に従う精鋭な前衛と、各国内の前進している労働者とは一身同体だ。まして、ソヴェトの五ヵ年計画の進行と、資本主義国の経済恐慌との開きはますます地球上ただ一つのプロレタリアの国・・・ 宮本百合子 「ソヴェト文壇の現状」
出典:青空文庫