・・・その境遇に処し、その信ずるところを行なうて、それで満足し安心し、そして勉励している。彼はけっして自分と他人とを比較しない。自分は自分だけのことをなして、運命に安んじて、そして運命を開拓しつつ進んでゆく。 一別以来、正作のなしたことを聞く・・・ 国木田独歩 「非凡なる凡人」
・・・学業に勉励せぬ、イデアリストでない学生に恋愛を説く如きは私には何の興味もないことである。学生の常なる姿勢は一に勉強、二に勉強、三に勉強でなくてはならぬ。なるほど恋愛はこの姿勢を破らせようとするかもしれぬ。だがその姿勢が悩みのために、支えんと・・・ 倉田百三 「学生と生活」
・・・希望、奮闘、勉励、必ずそこに生命を発見する。この濁った血が新しくなれると思う。けれどこの男は実際それによって、新しい勇気を恢復することができるかどうかはもちろん疑問だ。 外濠の電車が来たのでかれは乗った。敏捷な眼はすぐ美しい着物の色を求・・・ 田山花袋 「少女病」
・・・ああ吾が党の士、協同勉励してその功を奏せよ。 福沢諭吉 「慶応義塾の記」
出典:青空文庫