・・・ただちに政府に接せずして、間接にその政に参与するものというべし。間接の勢は直接の力よりもかえって強きものなり。学者これを思わざるべからず。今の人民の世界にいて事を企つるは、なお、蝦夷地に行きて開拓するが如し。事の足らざるは患に非ず、力足らざ・・・ 福沢諭吉 「学者安心論」
・・・五 一四・〇 一一・三 その他 三・六 二・〇 一・六 五ヵ年計画とともに現れたこの愉快な労働者・農民の階級的飛躍は直ちにソヴェト役員としてソヴェト政権に参与する労働者農民の数の増大と切っても切・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・作者の社会人としての感覚、歴史に対する積極的な参与を自覚しない客観主義は、いわば十九世紀の自然主義のぬりかえにすぎず、社会を客観的に見てあらゆる社会階層の現実とその発展を描破しようとする民主主義文学でないことは明瞭です。 石川達三、林房・・・ 宮本百合子 「一九四七・八年の文壇」
・・・こう見て来ると、今のところこれらアカデミックな人々の体面感を傷つけずに参与を可能ならしめるような表現では、会則や綱領がきめられないというところが、実際の事情ではなかろうか。会則、綱領がないと公言されていることは、一人の男が、私に主義というも・・・ 宮本百合子 「近頃の話題」
・・・軍需参与官やら、海軍司政官までが当選しているし大日本婦人会の理事で当選している婦人もある。 婦人代議士は、三九名も選出された。そして、今のところ、人気の焦点となっている。けれどもしんみりと考えたとき、私たち婦人のこころに湧いて来る思いは・・・ 宮本百合子 「春遠し」
・・・のをさえよろこびをもって自身の日々の間に発見してゆくのは、民主主義文学の鮮明な理論が確立され、個々の進歩的意図をもって書かれる作品が、それぞれの角度と本質とで大なり小なり、前進する歴史の生きたいのちに参与しえたことが客観的に評価され、なっと・・・ 宮本百合子 「両輪」
・・・個性が完成せらるる度の強ければ強いほどそれは特殊の色彩を強めるのであるけれども、同時にまた人性の進化に参与する所も深くなる。特殊の極限はやがて普通となるのである。 個性の完成、自己の実現はいたずらに我に執する所に行われるものではない。偉・・・ 和辻哲郎 「自己の肯定と否定と」
出典:青空文庫