・・・ 総ての事物に、合一される事が無くなり度い。 同じ日 今日は偉く暑い日である。 紐育などはどんなだろうと思い遣った丈で汗が滲み出る。 息もつまりそうにうっそうと茂ったエルムの梢を、そよりとも動かす微風もなくて、静かに・・・ 宮本百合子 「樹蔭雑記」
・・・ ○真に自分と合一致し得た者を得たと云う点に於て、自分は、罪と罰の、ロージャを羨む。 ○自分は多くのものを愛して居る。が恋は出来ない。私の道徳的な考えを滅茶滅茶にする丈、強い力はどこにも見つかりそうにもない。それは、自分の恋・・・ 宮本百合子 「「禰宜様宮田」創作メモ」
・・・三人の働きが合一してあたかも一人の人であるかのごとく動くのではまだ足りない。実際に一人の人として動かなければ人形の動きは生きて来ないのである。そこでこの三人の間の気合いの合致が何よりも重大な契機になる。人形が生きて動いている時には、同時にこ・・・ 和辻哲郎 「文楽座の人形芝居」
出典:青空文庫