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・・・そうそうは太郎一人の力にも及ぶまいから、このほうはあの子の村の友だちと二人の共同経営とした。地租、肥料、籾などの代を差し引き、労力も二人で持ち寄れば、収穫も二人で分けさせることにしてあった。 いつのまにか私たちの家の狭い庭には、薔薇・・・
島崎藤村
「分配」
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・・・然し、已を得ないと云うような言葉はつまり、弱者の云うことで――実際、此のサクバクたる農村が、郡山と同様の地租その他を負担させられると云うのは可哀そうなことです。「でも、地価や何かがあがるから少しは今とは違うでしょう。「いやそうです。・・・
宮本百合子
「日記・書簡」