・・・さてそれより塩竈神社にもうでて、もうこの碑、壺の碑前を過ぎ、芭蕉の辻につき、青葉の名城は日暮れたれば明日の見物となすべきつもりにて、知る人の許に行きける。しおがまにてただの一銭となりければ、そを神にたてまつりて、からからとからき・・・ 幸田露伴 「突貫紀行」
・・・しおがまにてただの一銭となりければ、そを神にたてまつりて、からからとからき浮世の塩釜で せんじつめたりふところの中 はらの町にて、宮城野の萩の餅さえくえぬ身の はらのへるのを何と仙台・・・ 幸田露伴 「突貫紀行」
・・・ 四 験潮旅行 明治三十七年の夏休みに陸中釜石附近の港湾の潮汐を調べに行ったときの話である。塩釜から小さな汽船に乗って美しい女学生の一行と乗合せたが、土用波にひどく揺られてへとへとに酔ってしまって、仙台で買って・・・ 寺田寅彦 「夏」
出典:青空文庫